新型コロナウイルスの第4波が猛威を振るう中、兵庫県たつの市神岡町東觜崎の「とくなが病院」が神戸新聞社の取材に応じ、コロナ入院病棟を開設したことを明らかにした。近くのグループ法人の介護事業所を借り、急造の専用病棟を3月に開設。現在は4床がフル稼働中といい、災害現場などで経験を積んだ医療スタッフが24時間体制で患者を見守っている。(直江 純)
同病院は一般病床、療養病床で計109床を備える。昨年5月には発熱外来を開設し、コロナ患者に対応してきた。だが、西播磨の病院では入院患者を受け入れきれず、淡路島や丹波まで搬送される例も。県龍野健康福祉事務所からの要請もあり、急造の入院病棟を設けることにした。
元の建物は医療用ではなく、ベッドなどは一時宿泊用だった部屋に運び込んだ。看護師らの待機場所と病室とは完全に分離し、高性能のフィルターでウイルスを除去する陰圧装置も設置している。
3月中は入院患者がいなかったが、4月中旬以降は満床状態が続く。対応できる患者は軽症から中等症まで。酸素吸入は可能だが、重症化して人工呼吸器が必要になった場合は転院せざるを得ないという。
急造病棟のため電子カルテが使えないといった不便はあるが、看護師チームは陰圧テントの窓越しにタブレット端末で筆談するなど臨機応変に工夫を凝らす。
チームを率いる50代の女性看護師は災害医療に携わった経験があり、「設備が何もない状況で仕事をしたこともあるので大丈夫」と胸を張る。一方で自宅には高齢の親も暮らしており、「棟内で寝泊まりするなどし、帰宅の回数を減らしているのがつらい」と悩みも打ち明ける。
医療資源が逼迫(ひっぱく)している神戸・阪神間からの搬送患者もいるといい、「とくながグループ」の徳永憲威(のりたけ)理事長(40)は「自分や家族の身を守るため、少しでも感染リスクを下げる行動を取ってほしい」と呼び掛けている。
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