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高齢者を乗せて出発する「江川ふれあい号」=佐用町豊福
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高齢者を乗せて出発する「江川ふれあい号」=佐用町豊福
古民家を改装した宿泊施設「グラミンカ」を見学する佐用高校生=佐用町若州
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古民家を改装した宿泊施設「グラミンカ」を見学する佐用高校生=佐用町若州
神戸新聞NEXT
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 兵庫県佐用町長選の告示が26日に迫った。最大の課題は人口減だ。2005年、旧4町合併で新町が発足した当時の人口は約2万1千人。それが今は約1万6千人にまで減った。歯止めをかけようと町は定住促進に力を注ぐが、取り組みはまだ道半ばといえる。現状を取材した。(勝浦美香)

■地域の足

 「おはようさん」。朝8時すぎ、佐用町・江川地区にあるホールの駐車場で高齢者たちがあいさつを交わして車に乗り込む。地元の地域づくり協議会有志が独自に運行する送迎車「江川ふれあい号」だ。路線バスの撤退に伴い、2010年に始まった。

 主に町の中心部と地区を結び、平日は毎日4往復。住民からは「気兼ねなく買い物に出掛けられる」と感謝の声が上がる。

 町内には現在、約140の集落がある。このうち高齢化率が50%を超えるのは50集落。合併直前には14集落だったため、この16年間で3・5倍に増えた計算になる。住民が10人を切る集落もあり、車の運転ができない町民の交通手段をどう確保するかは、待ったなしの課題となっている。

 町は外出を支援するため、多くの地域でコミュニティーバスや送迎車を運行するが、町域は300平方キロ超と広大。利用できる曜日や時間、路線は限られるのが現状だ。

 行政ではなく、地域が主体的に取り組む江川地区も高齢化率は50%を上回り、「ふれあい号」の運転手は10人とも60代以上。同協議会で交通部長を務める岡田郁夫さん(67)は「地域には絶対必要なサービス。何とか続けていくが、このままでは安全面と人材確保の両立が難しくなるのも事実」と打ち明ける。

■働く場

 定住促進には雇用の創出も重要になる。ヒントとなる仕掛けが隣の岡山県西粟倉村にあった。

 同村の人口は約1400人。このうち200人以上が村外からの移住者で、多くが「起業ありき」での転居だった。

 取り組みの起点となったのが、09年に策定した将来ビジョン「百年の森林(もり)構想」に基づく「ローカルベンチャースクール」。まずは村でやってみたい事業案を募集して審査する。通過者には国の地域おこし協力隊の制度を使って2~3年間定住してもらい、役所などがサポートに入る。人脈づくりなども後押しし、創業へとつなげる。

 最初は林業や木材関係が多かったが、新しい人材が集まるに連れ、裾野がどんどん広がった。今では薬剤師や教育コーディネーターまで現れて地域医療や子育てに貢献し、雇用を生む事業も増えているという。

 佐用町も20年度から、町内での起業を想定した事業案を競い合う「さよう星降る町のビジネスプランコンテスト」を開催する。早速実現したのが、集落全体をグランピング拠点に再生した「グラミンカ」。空き家になっていた同町若州の古民家6棟を改装し、今年1月にオープンさせた。

 外観は昔ながらの民家だが、中はモダンそのもの。現代風のキッチンや寝室、デザインにこだわった居間が広がる。農業や田舎暮らしを学ぶ授業で施設を訪れた佐用高校の生徒は「すげー」「おしゃれ」としきりに感激し、「卒業したら都会に行きたい気持ちはあるけど、田舎ならこんな仕事もありかも」との声も上がった。

 国の調査では、12年に1132カ所を数えた町内の事業所数も、16年に千カ所を切った。約8100人の就業人口のうち、3割以上は町外に働きに出ているのが実態で「ここで暮らしたいけど仕事がない」「働きたいと思える場所が少ない」と嘆く若者や移住者は多い。

 40年には人口が1万人を割り込むとの予測もある佐用町。岐路に立つ中、次の4年を担うリーダーはこれまで以上に手腕を問われる。

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