新型コロナウイルスの感染拡大が、兵庫県相生市看護専門学校(同市汐見台)の学生たちの生活に影響を及ぼしている。同校は実習先での感染を広げないよう、学生たちのアルバイトを制限。実習が長期間となる3年生を中心に、生活費を切り詰める学生が多いという。地元の社会福祉協議会が寄付で集まった食品を全校生徒に贈るなど、支援の輪が広がりつつある。(地道優樹)
同校はコロナの感染が広がった昨年の春、学生のアルバイトを禁止。感染状況により病院の看護助手などの仕事を許可した時期もあったが、「オミクロン株」の広がりを受けて来年1月から再び全面禁止とする。
「映画館に行ったり、友人と旅行したりする余裕はない」。同校3年の女子生徒(21)はため息をついた。節約のため食事はレトルト食品や缶詰で済ませることが多い。貯金を崩して生活する同級生もいる。
病院でのアルバイトで月数万円の収入があったが、実習が迫った昨年12月に退職。実家もコロナ禍で経済的な影響を受け、仕送りは途絶えた。
今年4月、卒業後の勤務を条件に月7万円の奨学金を在学中に受けられる病院への就職を決めた。「進路の選択は限られていた。アルバイトができていたらとも思うけれど、実習先での感染拡大の危険を考えると仕方ない」と声を落とす。
クリスマスを控えた今月23日、相生市社協の職員らがサンタクロースに扮(ふん)し、同校を訪問。市民や地元企業から寄せられた白米やインスタント食品、菓子類などを全校生徒約110人に手渡した。食品を受け取った学生は笑顔で感謝を伝えた。
3年女子生徒(21)は「食費と生活費に月3万円ほどしか使えず、本当に助かる。来年2月の看護師国家試験に向け、勉強をより一層頑張りたい」と力を込めた。
