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愛媛県でワインの仕込み作業をする田中源道さん(田中さん提供)
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愛媛県でワインの仕込み作業をする田中源道さん(田中さん提供)
ワイナリー開設の夢を語る田中さん=上郡町細野
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ワイナリー開設の夢を語る田中さん=上郡町細野
ブドウの育ち具合を見る福島聡一郎さん
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ブドウの育ち具合を見る福島聡一郎さん
ブドウのつぼみを切りそろえる竹内愛幸さん
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ブドウのつぼみを切りそろえる竹内愛幸さん

 ブドウの産地として知られる兵庫県上郡町が4月、国から「ワイン特区」に認定された。町内で、地元の農産物を原料にした酒造りがしやすくなる制度という。ブドウ栽培だけでなく、ワイン造りまで地元で行えれば、産業の裾野が広がり、若者らを地域に呼び込める。すでに走りだしているブドウ農家や若者たちがいると聞き、取材した。(地道優樹)

 「町内には、若い人の新規就農やUターンで実家の農地を継ぐ例もある。特区認定で弾みがつく」

 同町担当者が期待を寄せるのが「上郡ワイン等農産品活用特区」だ。エリアを絞って、規制を緩和する構造改革特区法に基づく計画で、国から町全域を対象に認定された。

 特区により、町内では酒造りがしやすくなった。通常、酒類製造免許の取得には、酒税法が定める最低製造数量基準を満たすことが要件となる。ワインなどの果実酒であれば年間6千リットル以上が基準。新規参入を目指すには、ハードルが高い。

 今回の特区認定で、特定の農業者が自ら栽培した果実を原料に酒を造る場合は基準を適用しない-ことなどが可能に。同町は、地元農産品を使い、濁り酒や果実酒などの製造を盛んにし、農業の6次産業化や移住・定住者、就農者の増加につなげたい考えだ。

 すでに地元には、特区を追い風に、ワイン醸造所「ワイナリー」の開設を目指しているブドウ農家もいる。50歳のときに脱サラして姫路から移住した田中源道さん(53)。引退する農家から畑を受け継ぎ、同町細野地区で「しらはた農園MOTO(モト)」を営んでいる。

 「昼間は南の千種川から暖かい風が昇り、夜は山頂から冷気が吹き下ろす。寒暖差がブドウ栽培にぴったり」と田中さん。5月下旬、同園を訪ねると、ハウス内には、高さ約1・6メートルの棚に沿って、ブドウの枝が真横に伸びていた。田中さんたちは、開花前のつぼみをハサミで切り詰め、養分が行き渡るように実や房を間引く作業の真っ最中。早ければ8月中旬にも収穫を始めるという。

 田中さんは19品種のブドウ栽培とともに、昨年からワイン造りにも挑戦。味わいが濃厚な「マスカット・ベリーA」を使い、愛媛県のワイナリーで1カ月半かけて、赤など3種類のワインを仕込んだ。先代農家が「細野のベリーAはコクの深さが違う」と、大切に育てた品種。ワインにすると爽やかな香りと軽やかな飲み口が好評で、今年も約750リットルができあがった。

 「ゆくゆくは上郡にワイナリーを開きたい」。新たな夢を持ち始めたところ、特区の話が舞い込んだ。「ワイナリーができれば町の観光拠点になるはず。2~3年後を見据え、ブドウと誠実に向き合っていきたい」と話している。

 3種のワイン(750ミリ)は各3500円。同園ホームページなどを通じて販売している。同園TEL0791・55・9508

■弟子入り修業中 竹内さんと福島さん

 田中さんのブドウ農園では4月から、2人の若者が「弟子入り」し、農作業に加わっている。

 福島聡一郎さん(20)は今春、県立農業大学校(加西市)を卒業して上郡で暮らし始めた。農園に毎日のように通い、ブドウづくりを学んでいる。

 大阪市の住宅街で育ち、田舎暮らしや農家に憧れていた福島さん。大学校に進み、梨や桃、柿といった果樹の栽培を専攻した。上郡に就農する同級生から田中さんの農園を紹介された。

 「ブドウは房の形に育てる人の個性が出る」と言われる奥深さが面白く、作業に没頭しているうちに日が暮れるという。

 もう一人は上郡出身で、吉備国際大農学部4年の竹内愛幸さん(22)。県立農業高(加古川市)で日本酒造りを学び、大学でも酒造りに必要な酵母菌を研究してきた。

 桜などの花から自ら培養した「花酵母」の使い道を探していたが、田中さんのワインを知り、研究テーマを変更。ブドウ栽培を学ぼうと、畑仕事を手伝うことになった。

 「ワインを通じ、いつか町を元気にしたい」。キャンパスがある南あわじ市の自宅と町内の実家を2週間おきに行き来しながら、夢を描いている。

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