兵庫県宍粟市内で５月、ため池に滑落した８０代男性の救助に尽力したとして、西播磨県民局は、会社員坂本直斗さん（４０）＝同市＝と、会社員谷口庄三さん（５０）＝同＝に県の善行賞「のじぎく賞」を贈った。

　男性は５月４日午後３時半ごろ、同市山崎町の自宅近くにある竹やぶで足を滑らせ、約２メートル下のため池に落下。池は最深１・７メートルほどで、自力ではい上がることができなかった。

　自宅にいた坂本さんは、男性の妻が自分の名前を呼ぶ叫び声を聞き、異変に気付いた。駆けつけると、男性はのり面から生えた木につかまって浮かび、体はほとんど水に漬かった状態だった。男性を助けるため坂本さんも池に入り、脚立を持ってくるよう依頼した。

　そこで男性の妻が向かったのが、近所の谷口さん。谷口さんは長さ約３メートルになるはしご兼用脚立を持って現場に急行し、救急隊らが来る前に坂本さんと一緒に救助した。男性は寒気を訴えていたが、打撲や擦り傷の軽傷で済んだという。

　坂本さんは「日頃から付き合いのある男性の命を助けられて良かった」と安心した様子。谷口さんは「身近に危険な場所があることが分かった。自分も気を付けたい」と振り返った。（村上晃宏）