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感謝状を受け取る鎌田英一郎さん=佐用町円応寺
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感謝状を受け取る鎌田英一郎さん=佐用町円応寺

 川に転落し、車体がひっくり返った軽トラック。運転席の男性(88)の頭は水につかり、鼻のあたりまで迫っている-。西はりま消防組合は、現場に居合わせ、男性を救助した兵庫県佐用町の会社員鎌田英一郎さん(59)に感謝状を贈った。どんな状況だったのか。(勝浦美香)

 5月31日午後4時前。プロパンガス販売会社に勤める鎌田さんは、会社の駐車場にトラックを止めて伝票の処理をしていた。「ガチャン」という音に反応し、顔を上げた。目の前の国道で軽トラックが事故を起こしたようだった。

 よろよろと道路脇を進んでいた軽トラックが突然、消えた。慌てて駆け寄ると、軽トラックは3メートルほど下の川に転落し、タイヤを上にしてひっくり返っていた。

 事故に気付いた人たちが通報しているのを確認し、鎌田さんは川へ向かう。近づくと、運転席に高齢の男性がいた。水深は膝ぐらいまでで浅いが、逆さになった車のドアは動かない。「シートベルトを外して」。開いた窓からうめくような男性の声が漏れる。車内に水が入り、男性の口にも流れ込んでゴボゴボと苦しそうな音がした。

 鎌田さんは窓から手を差し入れ、呼吸ができるように男性の頭を持ち上げる。「もうちょっとしたら助けが来るからな!」。大声で励まし、救助が来るまで頭を支え続けた。

 男性はその後、駆け付けた救助隊に車から助け出された。首にけがをし入院したが、命に別条はなかったという。

 佐用消防署であった感謝状の贈呈式で、満田利郎消防長は「判断が遅ければ、命の危険もあったかもしれない」と鎌田さんの行為をたたえた。「あの場にいたら誰もがそうしていたと思う」と鎌田さん。少し照れくさそうにしながらも「命が助かってよかった」とほっとした表情を見せた。

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