西播

  • 印刷
蔵の広々とした空間を生かした休憩所=たつの市龍野町下川原
拡大
蔵の広々とした空間を生かした休憩所=たつの市龍野町下川原
全国5カ所目の「寅さん自販機」。デザインは控えめ=たつの市龍野町下川原
拡大
全国5カ所目の「寅さん自販機」。デザインは控えめ=たつの市龍野町下川原
連携してコース料理を提供する吉田元幸さん(後列左)ら=たつの市龍野町川原町(主催者提供)
拡大
連携してコース料理を提供する吉田元幸さん(後列左)ら=たつの市龍野町川原町(主催者提供)
旧脇坂屋敷の部屋数を生かして観客が移動して楽しんだ寸劇「城下でエンタメ」=たつの市龍野町中霞城
拡大
旧脇坂屋敷の部屋数を生かして観客が移動して楽しんだ寸劇「城下でエンタメ」=たつの市龍野町中霞城
11月19、20日の2日間、城下町がにぎわった「オータムフェスティバル」=たつの市龍野町下川原
拡大
11月19、20日の2日間、城下町がにぎわった「オータムフェスティバル」=たつの市龍野町下川原

 龍野城下町(兵庫県たつの市龍野町)が国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選ばれて12月23日で3周年を迎える。新型コロナウイルスの拡大期と重なってインバウンドの恩恵は得られぬままだが、古い建築を生かした店舗や施設は着実に増えている。市は観光客用の駐車場を整備して受け入れ態勢を整えている。(直江 純)

■江戸期から続く商家の一部、「寅さん自販機」などでPR

 龍野橋近くの下川原地区には11月19日、市が古いしょうゆ蔵を改装した休憩所がオープンした。3月に開業した市営駐車場の一角にある。城下町の観光駐車場は以前、川原町、中霞城の2カ所でいずれも無料だったが、計4カ所に増やす代わりに有料化した。料金は1日(24時間)普通車300円の統一料金にした。

 蔵は元々、江戸期から続く商家「丸甚」の一部で、近年は医院の倉庫として使われていた。京都府立大の奥矢恵准教授らの調査で鬼瓦に「明治二十年」と銘があることが判明。135年前の1887年に建てられたと推測された。

 丸甚は現在も砂糖問屋として営業中。6代目の高島俊一さん(86)は「明治に鬼瓦を作り替えただけで、もっと古いはず」と不満げだ。市の担当者も「古い方が箔(はく)が付く。証拠を探したんですが」と残念がる。

 休憩所のお披露目は、年間で最も城下がにぎわう「オータムフェスティバル」に合わせた。約100平方メートルの広々とした空間は当面は無人。市は交代で出店するチャレンジショップを企画予定だが、無人の間もささやかな工夫を凝らした。

 それは計4台の自動販売機。しょうゆだけでなく、手延べそうめん「揖保乃糸」、ヒガシマル「うどんスープ」、ブンセン「アラ!」など市内の名産品が買える3台が並ぶ。

 残り1台は普通の清涼飲料水。しかし、取り出し口付近には映画「男はつらいよ」の主人公・車寅次郎がごろ寝するイラストがある。松竹とアサヒ飲料がタイアップした「寅さん自販機」で、全国5カ所目の設置という。

 昨年、東京・葛飾柴又や神戸市長田区など3カ所に先行設置された自販機は全面ラッピングだが、龍野は控えめのデザイン。重伝建地区に合わせ、あえて目立たなくしたという。

 龍野ロケの第17作「寅次郎 夕焼け小焼け」(1976年)は、岡田嘉子さんら脇役陣の奥ゆかしい演技が胸を打つ。山田洋次監督自身も「ベスト3に入る」と評する名作の舞台には、控えめなデザインが合うのかもしれない。

 市は今月28日まで蔵の呼び名を募集している。蔵に投票用紙があるほか、市ホームページからも応募できる。蔵の開館は午前9時~午後6時(駐車場、トイレは24時間利用可)。市観光振興課TEL0791・64・3156

■飲食4店と古民家ホテル連携、特別ディナー

 城下町南部の川原町地区では、飲食店4店と古民家ホテルが特別ディナー「川原町レストラン」を企画した。「スープの冷めない距離」のライバル同士が得意料理を持ち寄り、来年2月までの月1回、城下の夜を盛り上げる。

 初回は今月16日で「菓子と珈琲 朔(さく)」が会場。他の3店は、ジビエ創作料理「かのね」▽和食「スシ&ベジタブル 心(こころ)」▽カフェ「ゆるん堂」で、接客はホテル「クラス」が担当する。いずれも半径50メートル以内のご近所さんだ。

 1回20食限定で3800円(別途飲み物代)。「朔」は築約110年の広大な和邸宅。しょうゆ業者が来客をもてなした中庭が美しい。オーナーパティシエの吉田元幸さん(61)は「個性が強い各シェフの料理を締めくくれるか。腕の見せどころです」と意気込む。

 来年1月21日は「ゆるん堂」、2月17日は「心」が会場。各日とも午後6~9時。完全予約制。クラスTEL0791・78・9292

■旧脇坂屋敷で子ども向け寸劇

 今年は脇坂家が龍野藩主となって350周年。廃藩置県後に脇坂家が暮らした「旧脇坂屋敷」で11月下旬、子ども向けの寸劇「城下でエンタメ」が繰り広げられた。昔話「桃太郎」と組み合わせて脇坂家の歴史を紹介した。

 戦後はカトリック教会としても使われた屋敷は部屋数が多い。場面ごとに観客が部屋を移動しながら観劇するユニークな演出で、子どもたちは大喜びだった。

 脚本を監修した市立龍野歴史文化資料館の新宮義哲館長(52)は「雨でなければ城下の街角で演じる予定だったが、屋敷を活用するのも悪くないですね」

 「エンタメ」シリーズは今後、城下を飛び出して新宮宮内遺跡(新宮町)や旧室津小学校(御津町)などを舞台にする予定。

西播
西播の最新
もっと見る
 

天気(10月27日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 50%

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 23℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ