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「アイ ラブ ユー」を表す手話で歓迎する中尾富子さん(後列左)ら=ポップコーン専門店「ヘレン・ケラー」
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「アイ ラブ ユー」を表す手話で歓迎する中尾富子さん(後列左)ら=ポップコーン専門店「ヘレン・ケラー」
可能な限り有機栽培のコーンを使ったポップコーン
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可能な限り有機栽培のコーンを使ったポップコーン

 兵庫県宍粟市初のポップコーン専門店「ヘレン・ケラー」が、同市山崎町山田にオープンした。店名の由来は目、耳、言葉が不自由な三重苦を克服し、社会事業に貢献した米国のヘレン・ケラー(1880~1968年)。その名を体現するかのように、店内では聴覚障害者3人がアルバイトで働き、手話が飛び交う。「この店から、もっと手話が広がれば」。そんな思いを抱きながら、笑顔で接客に励んでいる。

 オープンしたのは手話通訳者の中尾富子さん(71)=同市。約40年前、市内の手話サークル「ひとみ」の発足に関わり、ろうあ者と交流する中で「いつか、一緒に働ける場所をつくりたい」との思いを抱いていた。

 今年5月、中尾さんが所有する建物の店舗に空きがでた。ろうあ者が接客する東京の居酒屋を思い出し、「かつての夢を形にしたい」と新しい店舗のオープンを決心。手話サークルで交流があった仲間に声をかけ、10月に開店した。

 聴覚障害者で働くのは小瀬和美さん(70)=同市、中谷みち枝さん(80)=同市、谷口益枝さん(67)=姫路市=の3人。健聴者と日常で接する機会は少なく、マスク着用だと口の動きが見えないため意思疎通が難しい。開店当初は「上手に接客ができるか」と不安が大きかった。

 オープンの日を迎えると、聴覚障害や手話サークルの仲間が次々と来店し、3人の働きぶりを鼓舞した。やがて仕事に慣れるとともに、一人でも健聴者に接客する勇気がついた。小瀬さんは「互いに助け合える仲間がいて、とても楽しい。笑顔あふれる手話を広げていきたい」と意気込む。

 中尾さんは「この店は聞こえない人と聞こえる人、そして聞こえない人同士をつなげる場所。手話で会話するのが当たり前の社会にしたい」と目を細める。

 ポップコーンは可能な限り有機栽培のコーンを使用。抹茶チョコレートやイチゴミルクなど「甘い系」のほか、カレーや梅しそといった「おつまみ系」の計11種類を提供する。11月から焼き芋も販売している。

 午前10時半~午後4時半。金曜定休。各種ポップコーンは350円から。店舗は播磨山崎郵便局(宍粟市山崎町山田)の北側。希望者には店舗隣の部屋で、無料の手話教室を開く。

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