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館内のパトロールも立派な仕事ニャ=佐用町志文
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館内のパトロールも立派な仕事ニャ=佐用町志文
寒い朝晩は特に、ネコの抱っこが喜ばれるという=佐用町志文
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寒い朝晩は特に、ネコの抱っこが喜ばれるという=佐用町志文
)「わんにゃんスタッフ」のイヌと触れ合う利用者=佐用町志文
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)「わんにゃんスタッフ」のイヌと触れ合う利用者=佐用町志文
勤続15年以上のベテランスタッフ「ミー子」=佐用町志文
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勤続15年以上のベテランスタッフ「ミー子」=佐用町志文

 はじめまして。私はネコの女の子「ミー子」。15年くらい前から、介護老人福祉施設「サンホームみかづき」(兵庫県佐用町志文)で「わんにゃんスタッフ」として働いているんだニャ。私を入れてネコ9匹とイヌ4匹の仲間たちが、約120人の利用者さんと過ごしているよ。私たちの仕事は、人に癒やしを提供する「アニマルセラピー」として、各地で引っ張りだこみたい。今日はベテランの私、ミー子のお仕事ぶりを紹介するニャ。(真鍋 愛)

 施設は1994年にオープン。敷地内には、介護が常時必要な人向けの「特別養護老人ホーム」や、認知症の症状がある人たちが共同生活を送る「グループホーム」などがあるニャ。

 わんにゃんスタッフの主なお仕事はアニマルセラピー。お年寄りになでてもらったり、一緒に散歩をしたりするの。そうすると、安心感を与えたり、リハビリのお役にも立ったりできるみたい。人間のスタッフは「利用者さんが、とっても穏やかな表情を動物たちに向けている」って、うらやんでたニャ。

 仲がいい人のお部屋へ遊びに行って、一緒に寝ることもあるよ。利用者さんのみとりのときは、そばを離れない子もいるニャ。

 統括施設長の山本勝也さん(53)は「本能で死を感じているのかな」と不思議そうだけど、「一緒にみとる家族の癒やしにもなっている」んだって。逆に、わんにゃんスタッフが天国に行くときは、利用者さんがお見送りしてくれるニャ。

 利用者さんは、動物好きの人が多いみたい。女性(84)も、家でシーズーを飼っていたんだって。今はスタンダードプードルの女の子、ココア(11)と仲良しで「自分ではもう飼えないけど、動物と暮らせて幸せ」って笑っていたな。佐用にゆかりはなかったけど、同県西宮市から飼い猫2匹と入所してきた女性もいたニャ。

 体が大きいイヌは、スタッフと一緒に利用者さんと触れ合うの。苦手な人には入所時に説明して、スタッフが私たちを近づけない配慮もしている。暮らすうちに仲良くなる人もいるニャ。

 オープン当初は動物と暮らせる福祉施設はあまりなかったそう。地域の人や町職員が拾ったイヌやネコを連れてくることもあって、実は私も元保護ネコなの。人間と一緒で、動物の性格もさまざま。友好的な子もいれば、人になれるのに時間がかかる子もいるニャ。最近は、アニマルセラピーへの理解が広まって、導入を検討する介護関係者の見学も増えたんだって。

 スタッフにはトリマーの資格を持つ人がいて、私たちを週1回トリミングしてくれる。獣医師さんや訓練士さんも定期的に来て、様子を見てくれるニャ。

 この前、取材に来た新聞記者がスタッフに尋ねてたの。「通常業務に加えて動物の世話をするのは大変じゃないですか」って。職員は「全然」「むしろ癒やしです」と首を振っていたよ。副施設長の中尾永子さん(49)も「わんにゃんスタッフはかけがえのない存在」って言っていたニャ。

 私の仕事、分かってくれたかニャ? さて、一眠りしたらご飯を食べて、館内パトロールに出発ニャ!

■心身の健康回復、教育にも活用

 動物と触れ合って心身の健康回復を図る、アニマルセラピー。近年、活動の場は病院や介護福祉施設にとどまらず、子どもの教育にも広がっている。

 2年前に神戸市が開設した市の動物愛護拠点「こうべ動物共生センター」(神戸市北区)では、市の事業の一環として「わんちゃん読書会」を定期的に開催している。

 活躍するのは、訓練を受けて適性テストを合格した「読書介助犬」。イヌに本を読み聞かせることで子どもの自己肯定感を育て、心の成長を促すなどの効果が期待されている。

 本を読む子どもたちの表情や声は、小型カメラで記録。人工知能(AI)が映像や音声を分析し、喜びや悲しみ、驚きなど10種類の感情を数値化する。同センターでは、人間と動物の相互関係について科学的に解明し、ホームページで検証結果を公表予定という。

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