相生湾口の東端に立つ「ホテル万葉岬」（兵庫県相生市相生）が、自転車を部屋にそのまま持ち込める、サイクリスト向けの宿泊プランを始めた。新型コロナウイルス禍の自転車ブームで、瀬戸内海を一望できる絶景を求めて坂道を駆け上がってくる自転車乗りが急増。「愛車を屋外に止めて、盗まれるのは怖い」という悩みの解消に一役買う。（地道優樹）

　ホテルは標高約１３０メートルの景勝地「万葉の岬」に立地。瀬戸内海が１８０度展望でき、好天時には淡路島や四国まで見晴らせる。

　たつの市御津町から相生市にかけての国道２５０号は、海岸沿いを走れるツーリングの名所として知られる。国道に近い万葉の岬に、車やバイクで立ち寄る人は以前から多かったが、コロナ禍で密を避けられるサイクリングが人気となり、自転車で登ってくる人も目立ち始めたという。

　国道からホテルまでは急勾配のくねくね道が約７００メートル続くが、「腕試しコースになっているらしく、天気の良い休日だと２０～３０人は見かける」と、副支配人の上田啓人（ひろと）さん（４５）。女性や高齢者も多く、何度も往復する猛者も。しかし、服装などで遠慮するのか、ホテルに立ち寄る人は少なく、館内のカフェ利用すら取り込めていなかった。

　そこで４月から始めたのが、サイクリスト限定の宿泊プランだ。和室を除く計２０室で対応する。料金は通常と同じだが、ＪＲ相生駅から自転車と一緒に送迎したり、カフェでドリンク１杯を提供したりする無料サービスも付け、「サイクリスト大歓迎」を前面に打ち出した。

　朝夕の食事付きで、１人１泊１万５４５０～２万４００円（１室最大４人まで）。上田副支配人は「水と氷の無料補給もやっているので、宿泊でなくても気軽に立ち寄ってほしい」と呼びかけている。ホテル万葉岬ＴＥＬ０７９１・２２・１４１３