童謡や遊び歌のリズムに合わせ、赤ちゃんの体に優しく触れる「ベビーマッサージ」。目的はマッサージをすることではない。「大切なのはスキンシップ。肌の感覚を通して、親が子どもと向き合う時間なんです」と柔和に語る。

　兵庫県宍粟市波賀町出身。京都市内の看護学校を卒業後、２４歳で助産師資格を取り、約２０年前から地元の宍粟総合病院で働き始めた。当初は同病院の助産師が３人しかおらず、一晩に出産が７人続いたことも。「無事に出産を終えた母親や、子どもの顔を見るのがやりがいだった」と振り返る。

　体調不良のため２０２０年に退職したが、県助産師会から依頼されたことを機に、ベビーマッサージの講師として活動を始めた。２２年６月には訪問・出張専門の「やぎ助産院」を開業した。

　宍粟市やたつの市で人形を用いながら実施するベビーマッサージ教室は、保護者同士が育児の情報を交換する場所にもなっている。また、宍粟市近辺を対象に、訪問しての授乳指導や乳房マッサージも行う。

　今後力を注ぎたいのは、性教育だという。病院時代には中絶に接する機会もあり、性教育の重要性を実感した。「自己肯定感の高まりや、命の大切さを学ぶことにもつながる。助産師としての知識と経験を伝えたい」と意気込む。

　「乳幼児の成長や発育は目まぐるしい。育児に不安を持つ保護者に寄り添いたい」。子育ての伴走者として、保護者らの悩みに向き合う。やぎ助産院ＴＥＬ０９０・６９１１・３５１６

（村上晃宏）