「安くて入りやすい高齢者施設はどう探すの？」「足の不自由な親の通院に付き添ってくれるサービスはありますか」。お年寄りたちから届く切実な相談に寄り添うラジオ番組が、兵庫県姫路市のラジオ局「ＦＭゲンキ」（７９・３メガヘルツ）で放送されている。医療や介護だけでなく、仕事の悩みや冠婚葬祭の作法にも専門家が丁寧にアドバイス。番組を手がけるのは、介護事業などで日頃から高齢者と向き合う市川町の企業だ。（喜田美咲）

　毎週日曜の午前７時から１時間放送されている「解決！なんでも困りごと相談」。２０２１年４月に始まった。企画するのは神崎郡や姫路市で介護や設備事業を展開する「アミューズ２４」（市川町甘地）で、取締役の安積（あずみ）進さん（６４）がテーマ設定や番組の進行を考え、時々、出演もする。

　番組は、リスナーから寄せられた介護や医療などの困り事を解決に導く相談コーナーと、地域で活躍するお年寄りらを紹介するコーナーで構成する。

　「離れて住む母が、家を空けて施設に入りたいと言っている。娘の私が元気でも後見人制度は使えますか」という質問には司法書士が回答。後見人制度には法定と任意の２種類があり、任意は判断能力がある人が今後の準備のために利用できると説明した。

　込み入った内容でも正しく分かりやすく。ほかにも、相続についてはファイナンシャルプランナーが、墓じまいや仏壇の処分については仏具店員などが話す。出演する専門家は同社と付き合いのある業者や番組に共感して集まった人たちで、無償で協力している。

　放送開始から半年は、電話で相談を受け付けていたが、なかなか集まらず、気軽に声を寄せられるはがきに変更し、施設や高齢者が集う場で呼びかけた。具体的な回答が好評で、これまで４００通以上が届いた。回答への感謝の手紙が届くこともあり、ゲストもやりがいを感じているという。

　反響は大きく、最近では番組に出演した専門家が、高齢者施設で勉強会を開くまでに。番組でグラウンドゴルフを紹介したことをきっかけに、３００人以上が参加する大会を同社が主催することにもなった。

　安積さんは「ここまでつながりが広がるとは」と驚きつつ、「介護や医療の話は親子でも話しづらいかもしれないが、元気なうちに準備しておくことが大切。正しい情報を楽しく学べる時間にしたい」と話す。