地元出身の民俗学者、柳田国男の著書にちなみ「妖怪の町」としてまちおこしに取り組む兵庫県福崎町で、「妖怪ブックカフェ」が営業を再開した。大正期に建てられた国登録有形文化財の旧辻川郵便局(同町西田原)を活用して2021年春に開店したが、新型コロナウイルス禍で休業していた。再開に合わせ、福崎らしさをさらに楽しめるようメニューを一新した。
旧辻川郵便局は、三木家の9代当主で柳田の友人、三木拙二が1923(大正12)年に建てた。木造2階建てで、ミントグリーンの外壁が特徴だ。
まちづくり会社「ペイジ」が、隣に立つ県指定文化財「大庄屋三木家住宅」の一部と郵便局を一体的に改装し、20年に複合ホテル「ニッポニア播磨福崎 蔵書の館」を開業した。同住宅の米蔵や離れ、郵便局の2階などが客室として使われている。三木家住宅には多くの蔵書があり、少年時代の柳田が読みふけったとの記録が残るため、ホテルは本を楽しめることを特長とする。
同じくペイジが運営するカフェも、「日本を知る」をテーマに妖怪の絵本や四季を紹介する写真集など300冊を並べる。小上がり席などで読んだり、購入したりできる。読書のお供として、外壁の色を再現したミントシロップ入りのカフェラテや、カッパをイメージした抹茶アイス、てんぐの鼻に見立てたホットドッグなどのメニューをそろえた。
同ホテルの川端雅明支配人(43)は「再開を望む声に応えられて良かった。親子連れにも気軽に文化財に触れてもらいたい」と話す。土、日曜の午前11時~午後3時。同ホテルTEL0790・24・3565
(喜田美咲)