電気供給に欠かせない変圧器を製造する三菱電機・系統変電システム製作所赤穂工場(赤穂市鷆和)がいま熱い。昨年、同工場は働きやすい職場環境づくりに取り組む企業に贈られる「グッド・アクション・アワード」を受賞。その背景を取材すると、そこには「誇りを持って働ける職場にしたい」と奮闘する社員の姿があった。(橘高 声)
同工場は1972年に操業を開始。甲子園球場約6個分の敷地で、電圧を上下させる装置である大型の変圧器を製造し、変電所や新幹線に配備されている。
「グッド・アクション・アワード」は、リクルートが毎年実施し、今年で11回目。今回、同工場が2023年から取り組む一連の組織風土改革が評価された。
改革に取り組むきっかけは、22年に発覚した検査不正問題だった。赤穂工場で製造した変圧器について、取引先が求めた基準を満たさない検査を40年にわたって行っていた。外部弁護士などでつくる調査委員会は、他の部門との人事交流が少ない環境を問題点として指摘。風土改革が急がれた。
そんなとき、手を挙げたのが内鉄設計課の小林意弘(もとひろ)さん(30)だった。小林さんは入社1年目から独自に職場の雰囲気を変えようと奮闘していた。工場の変革チーム立ち上げの話を聞き、満を持して立候補した。
小林さんは入社初日、工場で働く社員の表情が暗いことが気になった。「生活に欠かせない電気に関わる仕事だから、みんな自信や誇りを持って働いていると思っていた」と小林さん。ところが、工場の現場で働く社員は疲れ切った顔が目立った。