現場で当時を振り返り、「困っている人を助けられる人になりたい」と話す大北泉羽さん=市川町甘地
現場で当時を振り返り、「困っている人を助けられる人になりたい」と話す大北泉羽さん=市川町甘地

 体調不良で倒れた男性を救助しようとしたとして、市川中学校(兵庫県市川町甘地)3年生の大北泉羽(みはね)さん(14)に県の善行賞「のじぎく賞」が贈られた。大北さんは人見知りしがちなタイプ。それでも勇気を出して、学校で教わった人命救助の方法を実践した。(喜田美咲)

 6月上旬の午後、下校中だった大北さんは、農地の脇に立っていた70代の男性が目の前であおむけに倒れる瞬間を目撃。焦ったが、周囲に他の人はおらず、意を決して男性に駆け寄った。肩をたたき「大丈夫ですか」と保健体育の授業で教わった声かけを実践。男性はまばたきをしていたが返事はなかった。

 現場近くにいちかわ西こども園があり、大北さんの声に気付いた同園の保育教諭らも駆け付けて、119番や水分補給を手伝ってくれた。男性は処置を受け、事案のあったその日のうちに無事退院したという。

 この日、隣町の福崎町では最高気温が30度を超えており、男性には熱中症の症状が出ていたとみられる。「あの子のおかげで命が助かった」と男性が同町教育委員会に知らせ、表彰が決まった。

 大北さんは、9月29日に中播磨県民センターの西谷美貴副センター長から賞状を受けた。将来の夢は保育士だといい、「行動を起こせて良かった。こども園の教諭が助けてくれてかっこよかったので、あんなふうに動ける人になりたい」と笑顔を見せた。