明石工業高等専門学校(兵庫県明石市魚住町西岡)の学生らが、大阪・関西万博のシンボル、大屋根リングの模型を制作した。今月初旬の高専祭で展示すると、交流サイト(SNS)を中心に話題となり、実際のリングを設計した建築家の藤本壮介氏も「素晴らしいですね!」と投稿。学生らは、思わぬ形で注目を浴びた模型の活用法を模索している。(新田欧介)
■素材は割り箸 連日の突貫工事、開場直前に完成
模型は実物の200分の1のサイズで、同校2年3組の約40人が作った。7月ごろから展示の構想を練り始め、夏休み明けから制作にとりかかった。
木組みの柱が特徴的な大屋根リングの素材には、割り箸を採用した。「安価で、はさみなどで加工しやすいことが決め手だった」と、リングを担当した建築学科の石川彩心(あこ)さん(17)。「同じものを144個ほど作るので、専用の型紙を使って個体差が出ないようにし、限られた予算の中でどれだけうまく再現できるかを追求した」と振り返る。
リング内にはつまようじや紙粘土、段ボールなどで組み立てられたパビリオン約70個も設置した。大小さまざまな柱が特徴の中国館は、割り箸で表現。パビリオンを担当した都市システム工学科の井筒璃央さん(16)は「実物の写真を見ながら長さを細かく調整した。柱に刻まれた文字は、中国語に明るい先生にペンで書いてもらった」と話す。
最後の1週間は、学校の許可を得て毎日午後8時まで作業し、高専祭当日の開場直前に完成させたという。
高専祭は今月1、2日の2日間だった。初日に来場者がSNSで発信して話題となり、2日目は奈良県生駒市など遠方から訪れる人の姿も。その投稿に反応した藤本氏の投稿もあり、同校には「高専祭後も作品を残してほしい」「作り方を教えてほしい」などと、リングについて多くの声が寄せられたという。
同校では通例として高専祭後には展示物を解体し、片付けることがルールとなっているが、反響の大きさを受け、学校側と協議の上で保存・活用を決定。既に市内の商業施設などから展示依頼もあるという。
都市システム工学科の黒石航平さん(17)は「こんなに反響があるとは思わなかったので、すごくうれしい。リングの耐久性などを補強しながら、自分たちでも展示を企画できたら」。機械工学科の小篠(おざさ)誌織さん(17)は「各学科の一人ひとりの個性が十分に生かされた展示になった」と笑顔を見せた。
























