ルッキズムという言葉が広がっています。外見に基づく差別や偏見のこと。最近では「見た目で人を判断すること」「容姿に言及すること」など多面的な文脈で使われています。ルッキズムに対する考えや容姿を巡る体験談をアンケートで募ると、さまざまな回答が寄せられました。その中からいくつか紹介します(回答は一部要約、省略しています)。
ご意見や体験談は、随時こちらで募っています。
■自分の姿が大嫌い、結婚相手は…
父親の容姿に似た私。低身長で足が短く顔が大きい自分の姿が大嫌いです。遺伝を恐れ、結婚相手は高身長できゃしゃな人。誰からも足が長いと言われていますが、それは病気による身体的特徴であり、治らない病気と向き合いながら生活しています。子どもは夫に似てきましたが、病気の遺伝がないか不安です。(30代女性)
■努力でどうにもならない
「ハゲはカツラで、デブはダイエットでなんとかなるが、チビだけはどうにもできない」と言われていた男性を見たことがある。外見は、先天的なものや後発的なものがあるが、本人の努力でどうにもならないことの方が多いと思う。(50代男性)
■怒っていないのに
怒っていなくても「怖そう」とか言われる。それを打ち壊そうとして砕けて話すと「イメージと違う。しゃべらない方がいいね」って言われる。どうしろ?って感じです。(60代女性)
■モテる三要素って
小顔、二重、色白…。女の子が持っているとモテる要素です。残念ながらすべて持って生まれませんでした。二重と色白は、メークや努力でどうにかなりますが、小顔だけは骨格の問題なので、今でもコンプレックスです。でも結婚して多少コンプレックスは減ったかな。わが子が小顔じゃなくて申し訳ないけど。小顔、二重、色白、この三要素は白人さんが持っています。日本人って遺伝子レベルで白人さんへの憧れが強い民族なんだなあとつくづく感じます。美容整形でも、より“白人さん”に近ければ美人でしょ?でも外国人に「小顔ですね」と言ったり、顔のパーツや肌の色などに言及したりすることはタブー。知らないから、海外から来た方に良かれと思って言ってしまいます。小学校で外国語も教科になりましたし、こういったことも指導すべきですよね。(40代女性)
■「おまえの髪、それ陰毛?」
くせ毛でからかわれたことが何度もあります。嫌な思いをしたことも。髪がクルンとしてかわいいと言ってくれる人もいれば、忘れもしない、社会人になった20代の頃、サービス業の接客をする機会があった時に、その部署の男性の先輩に「おまえの髪、それ陰毛?」って言われたことがあります。それまでに出会った人は、そう思ったことがあったとしても口に出さずにいてくれたのかもしれませんが、人生で一度だけその人に言われたことを、忘れたくても覚えてしまっています。正直、ひどいくせ毛でなければ「人生違ってたかな」と思ったりもしますが、直毛な自分はもう考えられないし、両親からもらった身体なので、これも個性、くせ毛で人にどう思われようが別にいいかと…50歳を過ぎて少し考え方が変わってきた気もします。湿気が多く風が強い日はテンション下がりますが…。(50代女性)
■男なのに背と声が
中学時代、男なのに背が低くて声が高くて、顔がかわいいと言われることが恥ずかしかったです。(30代男性)
■五体満足ではないこともある
事故で指が欠損しています。転職の際などに話すと、本当に気にされない方と動揺する方に別れます。生理的にこのような身体的特徴を受け入れられない方が一定数いることは分かっているので、私自身は特に差別とは思わない。でも、同じ立場で傷つく人がいることも分かっているので、誰もが五体満足ではないこともあると想像でき、生きやすくなる人が増えるような世の中になることを願います。(40代女性)
■子どもに言われた「死んだ方がマシ」
子どもから「なんでこんな顔に生んだのか」「人生詰んでいるから死んだ方がマシだ」と攻められています。私の目から見ても、そこまで悲観するほどには思えないのですが、それは「親だからそう思うだけ」と言われて困惑しています。(50代女性)
■顔にあざのある先生
自分が太っていた時は「ブタ」などとさげすまれてバカにされていたが、学生時代にスポーツや武道を始めて体形が変わったら、体育会系になってかっこいいと急に持ち上げられて扱いが変わった。反対に自分が学生時代、顔に大きなあざがある先生の前で、鳥肌が立っているのを見抜かれて、先生から、なぜそうなったのかを話してもらい、大泣きして謝ったことがあった。(50代男性)
■褒められると迷う
20代の頃、容姿を褒められ「ありがとうございます」と返したところ、そばでやりとりを聞いていた人に「ありがとうって返すってことは、自分のことをかわいいと思っているんだ(笑)」と冷笑されました。「そういう考え方があるのか!」と非常にショックを受けました。以来、外見に関わらず褒められた時の立ち居振る舞いに自信が持てなくなり、ずいぶん迷いました。40代になった今は素直に「ありがとうございます」と言うようにしています。(40代女性)