所属俳優の女性が急死した宝塚歌劇団宙組で、来年4月の退団を発表した男役トップスター、芹香斗亜さん=神戸市出身=が3日、大阪市内で会見した。渦中の宙組トップだっただけに発言が注目されたが、一連の経緯に自ら言及することはなかった。ファンに対しては「皆さんがいたからどんなことも乗り越えてこられた」と感謝した。
女性が昨年9月に亡くなって以降、芹香さんが舞台以外で公の場に出るのは初めて。退団を決める際に女性の死が影響したかを問われると「トップ就任時には大劇場公演3作と決めていた。直接は関係していない」と言葉を選びながら答えた。歌劇団は会見にあたり、退団経緯や現在の思いに関する質問以外はしないよう報道陣に繰り返し求め、司会者が質問を遮る場面もあった。
宝塚で学んだことについては「私という人間をつくるほとんど全てを宝塚で学んだが、一番は自分自身と誠実に向き合うこと」と回答。在籍した18年を「エキサイティングな宝塚人生だった」と総括し、残る宙組生には「みんな健康で心から幸せになってほしい」とメッセージを送った。
芹香さんは2007年に93期生として入団し、23年年6月に宙組トップスターに就任した。就任後初の宝塚大劇場公演は、女性の死亡をきっかけに開幕2日で中止に。今年6月、9カ月ぶりに別の演目で公演を再開した。
最後の公演は「宝塚110年の恋のうた」「Razzle Dazzle(ラズル・ダズル)」で、来年4月27日の東京宝塚劇場千秋楽で退団する。
女性の死を巡り、歌劇団は過重労働や団員らによるパワハラがあったことを認めて遺族に謝罪し、組織風土改革に取り組んでいる。(小尾絵生)