震災発生直後の旧県立淡路病院(栗栖茂さん提供の映像から)
震災発生直後の旧県立淡路病院(栗栖茂さん提供の映像から)

 1本の古びたビデオテープが残っている。

 阪神・淡路大震災が発生した1995年1月17日、多くの重症者に対応した兵庫県立淡路病院(洲本市、現淡路医療センター)の様子を撮影した映像だ。今では災害医療現場の教訓として引き継がれ、各地で医師らの研修会などで使われている。

 映像は午前7時過ぎ、救急外来を写し出したところから始まる。次々と毛布にくるまれた患者が搬送されてくる中、男性医師が「助かる人を連れて来てください!」と救急隊員に訴えている。車いすに乗せられた女性がぐったりしている。寝起きの格好のまま家族を運んできた人も。ストレッチャーに何人も横たわっている。