三田屋と男性役員を提訴し、会見する男性(手前)=13日午後、尼崎市役所
三田屋と男性役員を提訴し、会見する男性(手前)=13日午後、尼崎市役所

 「廣岡揮八郎の三田屋」のブランドで兵庫県の神戸、西宮市などでステーキ店を展開する「三田屋」(神戸市北区)の創業家一族の男性役員から長年パワハラを受けたなどとして、元従業員の男性(44)が13日、この役員と同社に約1600万円の損害賠償を求め、神戸地裁尼崎支部に提訴した。男性は同日、尼崎市役所で会見し「当時はマインドコントロールされ、声を上げても、もみ消され罰せられると思った」と訴えた。

 訴状などによると、男性は西宮市のハム工場で働き始めた2011年ごろから、当時工場長だった役員から暴言や激しい叱責を受け、退勤後や休日も大量の書類を書き、動画に撮るなどして報告するよう強要された。報告が遅れたなどの理由で「ミス」として役員から「罰金」を科され、徴収額は計約470万円に上った。また「時間管理の訓練」として、有名豚まん店全店を回り1個ずつ買わされたり、朝食やたばこ、菓子を買いに行かされ代金を払ってくれなかったりする不当行為もあったとした。

 昨年12月、男性を含む従業員34人が労働組合「武庫川ユニオン」(尼崎市)に加盟し団体交渉を行ってきたが、時間外労働や罰金について主張に隔たりがあり提訴に踏み切ったという。(黒田耕司、広畑千春)