阪神・淡路大震災の混乱が続く1995年5月、神戸市東灘区の祭りどころで、1台のだんじりが傷ついた街を練り回った。多くの地区で自粛を余儀なくされる中、北畑(きたはた)地区だけが「震災復興」と書いたちょうちんを掲げて決行した。「神戸を元気にしたい一心だった」。葛藤を経て巡行した氏子らが、30年前の「ハレの日」を振り返った。(井筒裕美)
■「街を元気にしたい」親から子へ
同区内で、だんじり祭りの歴史が古いとされる保久良(ほくら)神社(同区本山町北畑)は、街を見下ろす山上にある。例年、ゴールデンウイーク(GW)にふもとの鷺宮八幡神社(同区本山北町6)で各地区が練り合わせを行い、祭りのハイライトとなる。