神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 神戸市東灘区の市立六甲アイランド高校で2017年、当時1年の男子生徒が長時間の別室指導後に校舎から飛び降り、重傷を負った問題で、元生徒の男性(23)が市に約6千万円の賠償を求めた訴訟は10日、神戸地裁(野上あや裁判長)で和解した。市が指導の一部を不適切だったと認めて謝罪し、解決金150万円を支払うことで合意した。

 元生徒の男性は17年12月、友人に嫌がるあだ名をつけた「いじめ行為」の聴取として2日間で計約16時間の別室指導を受けた後、校舎5階から飛び降りた。現在も左脚にまひが残っているという。

 大学教授らでつくる調査委員会は19年、長時間の別室指導や教員の発言によって「退学になると思い込み、自死を決意するほどの精神状態に追い込まれた」とする報告書をまとめた。一方で、市が教員の言動を認めず謝罪を拒んだなどとして、男性側が22年6月に提訴していた。

 男性側の代理人弁護士や市によると「長時間にわたる別室指導で、ほとんどの時間を(男性)1人にさせるなど一部適切でない対応があった」と市が謝罪し、解決金150万円を支払う内容で合意した。報告書で不適切とされた教員の発言には触れられなかった。

 和解を受け、男性は「教師の発言により退学の恐怖を感じ、一生消えない傷を負ったという事実を認めて謝罪してほしかった」とコメント。市教委は「早期解決を図るため和解することとした」としている。