神戸新聞の「ファクト検証」情報募集コーナーに、神戸市長選(26日投開票)の立候補者の選挙運動用ビラについて、内容の真偽を問う調査依頼が寄せられた。
無所属新人岡崎史典氏(56)のビラで、対象は「神戸市民の平和を脅かす久元市政」というタイトルで「子どもたちの個人情報データを自衛隊に提供するなど、神戸市民の平和を脅かしています」との記述。
神戸市区役所課によると、市と自衛隊兵庫地方協力本部は2020年2月に覚書を交わし、毎年6月ごろに年度内で18歳の市民、毎年1~2月に年度内で21歳の市民の名前、生年月日、性別、住所の電子データを提供。覚書には「自衛官募集業務に使う」と規定している。以前は自衛隊側が住民基本台帳を閲覧し、同じ情報を書き写していた。神戸新聞は20年3月12日朝刊でこの事実を報じている。
よって「個人情報データを自衛隊に提供している」のは事実だが、対象は18歳と21歳の成人年齢のため、「子どもたち」との表現は誤解を生む恐れもある。「神戸市民の平和を脅かしています」との言葉は個人の意見や主張で、ファクトチェック対象ではなかった。
個人情報保護法は利用目的外の個人情報の外部提供を原則的に禁じているが、法令に規定があれば例外となる。自衛隊法施行令は「防衛大臣は、自衛官または自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、知事や市町村長に対し必要な資料の提出を求めることができる」と規定している。
自衛隊への個人情報提供を巡っては、一部の市民が「プライバシー権の侵害に当たる」として住民訴訟を起こしているが、市は各種法令から「問題ない」とする。大阪市や横浜市は公式ホームページで個人情報の提供を説明し、希望しない人の除外申請を受け付けている。一方、神戸市は情報提供の事実をホームページで説明しておらず、除外申請できる制度も設けていない。
神戸市長選などの地方選挙に関連し、神戸新聞NEXTのページ「ファクト検証 気になる情報調べます」で情報を募集しています。
【調査依頼や情報提供はこちら】
今回の検証で根拠とした公開情報のリンク、URLは以下になります。
■神戸新聞NEXT 2020年3月11日配信
自衛隊に電子データ提供 神戸市、隊員募集対象者情報
■個人情報保護法第69条1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057#Mp-Ch_5-Se_2-At_69
■自衛隊法施行令第120条
https://laws.e-gov.go.jp/law/329CO0000000179/#Mp-Ch_7-At_120
■大阪市/自衛官等募集事務に係る対象者情報の資料提供について
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000530285.html
■横浜市/自衛官募集事務における自衛官等募集対象者情報の提供について
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/bosyu/jieikanbosyu.html

























