定例会見で話す兵庫県の斎藤元彦知事=4日午後、県庁
定例会見で話す兵庫県の斎藤元彦知事=4日午後、県庁

 斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを記した告発文書問題で、兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)が報告書を公表してから4日で1年がたった。報告書は文書の内容を調べずに作成者を特定した県の対応は「公益通報者保護法に違反する可能性が高い」と指摘したが、斎藤知事は受け入れないままで、4日の定例会見でも「県の対応は適切だった」と繰り返した。

 県議会は2024年6月、51年ぶりに百条委を設置。告発文書に記された知事のパワハラや贈答品受領など七つの疑惑のほか、公益通報者保護の観点でも調べた。一方で、県議会は調査途中の同9月に知事の不信任を決議。自動失職した斎藤知事が同11月の知事選で再選し、報告書はその約4カ月後にまとまった。

 報告書は、斎藤知事らが文書の作成者だった元県民局長(故人)を捜して特定した初動対応について、公益通報者保護法に違反する可能性が高いと指摘した。だが知事は、報告書の公表直後から違法性を否定し、4日の会見でも「県の対応は適切だった」と主張。報告書は知事の言動、行動について「パワハラ行為と言っても過言ではない」と結論付けたが、この点も含めて知事は「違法性は最終的には司法の判断」と従来通りの考えを繰り返した。

 会見では、特別職を対象としたハラスメント防止条例などの導入に否定的な姿勢を見せる一方、「報告書は重く受け止めていきたい。指摘されたことにはしっかりと対応策を講じてきた」と強調。幹部研修のほか、公益通報制度に関する県の要綱を改定し、報道機関などへの外部通報も内部通報と同様、通報者の不利益な扱いを防ぐ「体制整備義務」の対象だと明記したことなどを挙げた。

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 百条委の委員長を務めた奥谷謙一県議(自民党)は4日、神戸新聞の取材に応じ、「今も知事の説明責任は果たされていない。率直に残念だ」と述べた。

 報告書に対する斎藤知事の受け止めについては「反論があること自体は別に否定しないが、『適切』と言うだけでどう適切なのかを示さない。最近はネットなどで『いつまで文書問題のことを言ってるのか』と批判されるが、是正されないまま議会が何も言わなくなるのは健全ではない」と話した。

 百条委を巡っては、交流サイト(SNS)などで委員への攻撃が激化。委員を務めた竹内英明元県議が辞職後の25年1月に自死した。24年11月の知事選に斎藤知事を応援する目的で立候補し、「2馬力選挙」を展開した政治団体党首の立花孝志被告が25年11月、生前と死後の竹内氏への名誉毀損容疑で逮捕、同罪で起訴された。

【百条委員会】地方議会が地方自治法第100条に基づき設置する特別委員会。自治体の事務に関する疑惑や不祥事について事実関係を調べる。強い調査権限が認められ、「伝家の宝刀」とも呼ばれる。首長や議員ら関係者の出頭や証言、記録の提出を求めることができ、正当な理由なく拒否したり、偽証したりすると、禁錮や罰金が科される。