兵庫県政を揺るがせた告発文書問題の発覚から、27日で2年。この間、斎藤元彦知事を巡り、街頭で辞職要求デモが繰り返され、交流サイト(SNS)でも応酬が続く。近現代日本政治史研究の第一人者で政治学者の御厨(みくりや)貴氏(74)は、兵庫での混乱は「言葉で説得する政治から『絵』で動員する政治へ傾く転換点」と位置付け、「今は混沌(こんとん)期だが、やがて揺り戻しが来る」と指摘する。(前川茂之)
御厨氏は1967~2018年の「兵庫県史」編さんを担当、ひょうご震災記念21世紀研究機構のセンター長も務めるなど、兵庫とも縁が深い。
文書問題は知事選に波及し、「SNS選挙」と呼ばれた。ネット上に真偽不明の情報や誹謗(ひぼう)中傷が飛び交い、対立が先鋭化した。
御厨氏は、兵庫で起きた現象は一過性ではないとみる。SNSでの発信が世論を動かし、地方選挙のうねりが国政にも広がっているとする。
背景には社会の停滞感があり、有権者の「これまでの政治に裏切られてきたという感覚」が、報道を含めた既存の枠組みへの不信につながっていると説明する。
SNSの広がりは、政治を印象の競い合いに変える一方、相手をおとしめる応酬は長続きしないと強調。熱が冷めた後に残るのは、好き嫌いの対立ではなく、暮らしをどう立て直すかという課題となり、「言葉で説明し、納得を重ねる政治に戻らざるを得ない」と語る。
再選後の斎藤知事に対しては、県政の道筋を示す責任があるとして、「兵庫県の未来像をどうするか。『大きな図』を示す必要がある」と述べ、「分断が深まる中で県民全体をどう説得できるかが問われる」とした。























