神戸地裁判決を受け、会見する原告代理人の奥村昌裕弁護士(中央)ら=24日午後、神戸市中央区
神戸地裁判決を受け、会見する原告代理人の奥村昌裕弁護士(中央)ら=24日午後、神戸市中央区

 勤務した神戸市内の金属加工工場でアスベスト(石綿)被害を受け、悪性胸膜中皮腫を患ったとして、元労働者の遺族が国に1430万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、神戸地裁であり、島戸真裁判長は請求通り全額の支払いを国に命じた。賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年間)の起算点の解釈が争点だったが、「発症時」とする国の主張を退け、「死亡時」と認定した。

 元労働者は山本正雄さん。1957年から約30年間、同市内の工場に勤め、2002年6月に中皮腫を発症した。同11月に74歳で亡くなり、22年11月に長男博明さん(59)が提訴した。

 除斥期間の起算点を巡っては、国は14年の最高裁判決以降、中皮腫で死亡した被害者は「死亡時」を起算点として和解に応じ、損害賠償金を支払ってきた。だが23年2月、別の訴訟内容を根拠に「発症時」とする運用に変更。今回の訴訟が提起された後の変更だったが、国は02年6月が起算点と主張し「原告の請求は無効」だと訴えた。

 島戸裁判長は判決で、除斥期間の起算点を発症時とした場合、長生きを望む患者側に生前から死亡を前提に請求させることとなり「あまりに酷で、正義、公平の理念に反する」と指摘。死亡時と解すべきとした。

 原告の博明さんは「アスベストの病気にかかった他の患者の救済に役立つ判決」とコメント。会見した代理人の奥村昌裕弁護士は、国の運用変更について「訴訟の中で突然知らされた。国は被害救済に後ろ向きだ」と非難した。

 判決を受け、厚生労働省石綿対策室は「内容を精査し、関係省庁と協議し、対応する」とした。

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 奥村弁護士ら「大阪アスベスト弁護団」は石綿被害全般に関する電話相談を受け付けている。フリーダイヤル0120・966・329(平日午前10時~午後6時)