防災気象情報の新しい体系と名称
防災気象情報の新しい体系と名称

 気象庁が29日、警報と特別警報の間に「危険警報」を新設した防災気象情報の運用を正式に始める。5段階のレベル併記とともに、危険度を分かりやすくする狙いだが、兵庫県内の保育施設などは危険警報の水準を図りかね、休園判断に頭を悩ませる。また、「洪水警報・注意報」が廃止されるため、自治体には「河川の危険が伝わりにくくなるのでは」と懸念する声もある。(井沢泰斗、田中宏樹)

 国は従来、大雨や洪水による避難目安を5段階の警戒レベル(L)で示してきた。L3は「危険な場所から高齢者らは避難」など、レベルごとの行動を促す。

■「休園はハードルが高い」

 気象庁は29日から危険警報の新設に合わせ、各警報に警戒レベルを併記。大雨と河川氾濫、土砂災害、高潮の4種類を対象に、変更後は「レベル4土砂災害危険警報」などと表記する。

 「働く保護者のことを考えれば、休園はハードルが高い」。神戸、西宮市で認定こども園を運営する神戸YMCA福祉会の小澤昌甲理事長は本音を漏らす。警報発表時は、休校の学校と異なり、保育施設は園児を受け入れるところが多い。

 同会も警報時は開園し、特別警報が出れば休園か保護者が迎えに来るルールを運用する。危険警報時は「近くに住む職員で開くなど対応を考えたいが、通園中の危険もある。結局は実際の気象状況で判断することになるのでは」と話す。

 神戸市も市立保育所の休園の判断を決めかねている。市幼保振興課の担当者は「危険警報が過去の災害と照らしてどの程度の気象を想定するのか、どれほどの頻度で出るのかにもよる」とし、気象庁に問い合わせていることを明かした。

 観光・文化施設も微妙な判断を迫られる。世界文化遺産・国宝姫路城(姫路市)は、危険警報への対応は未定という。姫路城管理事務所の田中雅也副所長は「L4相当なら来城者に危険が及ぶ可能性もある。台風シーズンも近づいており協議したい」と対応を急ぐ。

■「川の危険が伝わりにくくなる」

 一方、行政は体系変更後も、防災気象情報を基に「避難指示」などを決める。

 2023年8月の台風7号で、県内初のL5「緊急安全確保」を発令した香美町は、防災行政無線で警報以上の発表を通知する。町防災安全課の和田忠久課長(59)は「新名称が浸透すれば住民は危険度を理解しやすくなる。町としては引き続き、河川の水位や雨量から危険な区域を見極め、避難情報を発信していく」と気を引き締める。

 ただ、新体系では洪水警報・注意報が廃止される。

 円山川や加古川を含む県内11河川は「レベル4氾濫危険警報」などの名称で危険性が発信されるが、国管理の大河川がない神戸市では、大雨関連の警報が河川の増水や氾濫に警戒を促す情報となる。広く定着した「洪水」表記がなくなるため、市危機対策課は「川の危険が伝わりにくくなる可能性があり、川沿いの市民へ大雨関連の情報に注意を促す必要がある」とする。