1997年の神戸連続児童殺傷事件など重大少年事件の記録が全国各地の裁判所で廃棄されていたことを受け、最高裁が責任を認め謝罪したのは、2023年5月25日のことだ。24年1月30日には、事件記録を「国民共有の財産」と位置付ける新制度が始まった。最高裁の謝罪から3年。記録保存は進んだのか、裁判所の認識は深まっているのか、検証した。(霍見真一郎)
■反省
神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄が発覚した際、保管を担う神戸家裁の職員は「少年事件記録は少年が26歳になるまで保存し、原則廃棄する」と話した。しかし、裁判所の内規や最高裁通達は「全国的に社会の耳目を集めた事件」などは特別保存(永久保存)するよう定めていた。
その後、長崎の佐世保小6女児殺害事件(04年)や京都の亀岡暴走事故(12年)など各地で重大少年事件の記録が捨てられていたことが次々と判明した。
23年5月、最高裁は「一連の問題は、最高裁による不適切な対応に起因する」と総括し、「後世に引き継ぐべき記録を多数失わせてしまったことを深く反省し、事件に関係する方々を含め、国民におわびする」と謝罪した。
■理念
最高裁は記録保存の在り方について、有識者委員会(座長・梶木寿元広島高検検事長)を立ち上げ、計15回の会合を経て調査報告書をまとめた。
これを踏まえて最高裁は24年、新しい規則を施行する。第1条には、史料的価値のある事件記録を「国民共有の財産として保存し、後世に引き継いでいく」との理念規定が設けられた。
裁判所ごとに作られていた特別保存の運用要領を統一。廃棄する際は裁判所長の認可が必要なことを明文化し、特別保存の要望に対する審査結果の通知を義務づけた。
さらに、判断に外部の意見を反映させるため、第三者委員会を設置。大震災や疾病など「一定の重大な社会事象」が生じた場合は保存について意見できると定めた。
ただ第三者委の手続きは非公開とされ、議事要旨からしか内容は分からない。そして昨年6月27日に開かれた第6回会合の要旨さえ、まだ公表されていないのが実情だ。
また新制度では、事件記録を永久保存するよう求める要望に対し、裁判所が認定しない際は、第三者委に意見を求めるよう義務づけているが、これまで裁判所の判断に第三者委が異を唱えた事例は1件も出ていない。























