介助用ベッドの上の井関ゆうなさんと、母親の宏美さん。多目的トイレにあれば当事者の外出の選択肢はぐっと広がる=神戸市役所
介助用ベッドの上の井関ゆうなさんと、母親の宏美さん。多目的トイレにあれば当事者の外出の選択肢はぐっと広がる=神戸市役所

 大型の介助用ベッドを備えたトイレが少ない。障害や高齢を理由に介助の必要な大人がおむつを交換できる貴重な場所だが、街中に普及しないために、兵庫県内の当事者やその介助者らが外出に対する高いハードルを感じている。車椅子やオストメイトなどに対応する基本的設備と違い、ベッドに法的な設置義務はない。都市部でも数は限られ、「ベッドがあれば、障害があっても気軽に外出できる」と改善を望む声が上がる。(那谷享平)

 神戸市役所内にある多目的トイレ。「これで帰らずに外出を続けられるね」。井関宏美さん(47)=神戸市灘区=がベッドに寝かせた娘のゆうなさん(24)に笑顔を見せる。ゆうなさんは先天性の筋ジストロフィー。電動車椅子を使って移動し、外出中のおむつ交換にはベッドが欠かせない。

 トイレの悩みは切実だ。車椅子で利用できる多目的トイレは増えたが、横になっておむつ交換ができる大人用のベッドが設置されている場所はまだ少ない。ゆうなさんは「行ってみたい所はいっぱいある」と話すが、子どもの頃のように車の中でおむつ交換はできない。結果として、外出は行きたい場所ではなく「行ける場所」に限られる。

 井関さんが副会長を務める「神戸市重度心身障害児(者)父母の会」には神戸市内の約130世帯が所属。数年前から、バリアフリートイレへの大型介助用ベッド設置を求めて活動している。井関さんは「ベッドがあれば、もっと自由に移動でき、お出かけをもっと楽しめるのに」と語る。