東播磨県民局1階に展示された自分の作品に笑顔の隅野由子さん=加古川市加古川町寺家町
東播磨県民局1階に展示された自分の作品に笑顔の隅野由子さん=加古川市加古川町寺家町

 加古川市出身で神戸市を拠点に活動するダウン症の書道家、隅野由子さん(39)の作品2点が、東播磨県民局(加古川市加古川町寺家町)1階ホールに常設展示された。県が各庁舎で進める「ユニバーサル・アートギャラリー」で、県民局・県民センターとしては初めてとなる。お披露目式には隅野さんや母滋子さん(73)が訪れ、来館者や職員ら50人以上が見守る中、作品が多くの人の目に触れることを喜んだ。(増井哲夫)

■「多くの人に見てほしい」

 県は庁舎での同ギャラリー設置を進め、障害者芸術への理解促進や展示機会の拡大を図る。その一環として2023年11月、県庁2号館(神戸市中央区)に、障害者のアート活動に取り組む片山工房のメンバー杉山統基さんの絵画「タイガー」を設置。隅野さんの作品展示が第2弾となる。

 隅野さんは高校時代にオーストラリアへ留学。留学中の03年6月に書道と出合い、帰国後、書道家に師事した。日々の生活の中で心に浮かんだ言葉、思いを書や墨画で表現する。東日本大震災の被災者を励ます作品も制作。多くのファンがいる。

 今回常設展示されたうち「大切なことはいつもしあわせ」は、オーストラリアで初めて書いた記念すべき作品。「ママは天才じゃなくて繊細です」で始まるもう一つの作品からは、母滋子さんへの感謝といたわりが伝わってくる。創作には集中力が必要で、根気よく少しずつ取り組む。「疲れるけれど、書き始めると楽しい」と由子さん。

 隅野さんらはお披露目式に先立ち、野北浩三県民局長を訪問。野北局長が「1階には『かこむ』があって夜も若い人らが利用する」と話すと、隅野さんは「加古川市内での展示はうれしい。より多くの人たちに見てもらえたら」と期待を寄せた。