神戸市中央区脇浜海岸通1のスーパー銭湯「HATなぎさの湯」に、クラフトビール醸造所が併設された。施設は現在、リニューアル工事に伴い休業中で、10月に再オープンする予定。湯上がりに注ぎたてのオリジナルビールが味わえるようになる。
東京都出身で神戸市中央区に住む戸上将吾さん(35)が開設した醸造所「ペイントパレットブリューイング」。
戸上さんは、米国の農場で研修生として働いている時にけがの治療で港町シアトルに滞在。まちに根付くクラフトビール文化に触れて深く感動したという。
帰国後は、京都の醸造所で2年間修業。再び渡米し、大学でビール造りを学ぶなど現地で開業を目指したが、新型コロナウイルス禍でビザ(査証)取得のめどが立たず断念した。
日本で候補地を探していたところ、なぎさの湯の運営会社から神戸での醸造所併設の誘いを受けた。海のそばという立地と米国の西海岸を思い出させる情景に快諾し、7月からビール造りを始めた。運営会社によると、クラフトビールの醸造所を併設するスーパー銭湯は全国でも珍しいという。
麦芽やホップの種類、温度管理など試行錯誤を重ね、フルーティーな味わいの「アメリカンペールエール」など、初のオリジナルビール4種類が完成した。なぎさの湯が10月中旬に再オープンするまでは、市内外の飲食店向けに出荷するなど販路を広げている。
醸造所の名前は、絵の具のパレットが由来。戸上さんは「ビールで多彩な情景を描き、神戸のクラフトビール文化醸成につなげたい」と夢を語る。
醸造所の詳細は、インスタグラム(@paintpalettebrewing)で発信している。(今泉欣也)