福島第1原発で建設中の放射性物質分析・研究施設第2棟=7月(日本原子力研究開発機構提供)
 福島第1原発で建設中の放射性物質分析・研究施設第2棟=7月(日本原子力研究開発機構提供)

 日本原子力研究開発機構は、東京電力福島第1原発で建設中の溶融核燃料(デブリ)を分析する施設について、完成時期を従来の2027年3月から28年4月に延期した。設置予定だった設備の部品が製造中止で入手困難と判明。分析作業を妨げる恐れのある設備配置も明らかになり、設計や工程を見直した。

 施設は「放射性物質分析・研究施設第2棟」。昨年11月と今年4月に2号機で試験採取したデブリは茨城県にある研究施設に運んだが、完成後は第1原発でも分析が可能になる。

 施設は地上2階地下1階で、延べ床面積は約3300平方m。放射線を遮るため厚い鉄で覆った「鉄セル」や、密閉構造で中にある物質をグローブ越しに扱う「グローブボックス」などを設ける。今年3月に着工し、地下1階の工事を進めている。

 遮蔽用扉の部品の一部が製造中止となっていたことから、見直し後の計画では、レールと取り付けるボルトの仕様を変更した。グローブボックスは、運搬用の台車の通路と分析作業のスペースが重ならないよう配置を変えた。