参院選の「1票の格差」訴訟の判決を受け、広島高裁松江支部前で「違憲状態」などと書かれた紙を掲げる原告側の升永英俊弁護士(左)ら=4日午後、松江市
 参院選の「1票の格差」訴訟の判決を受け、広島高裁松江支部前で「違憲状態」などと書かれた紙を掲げる原告側の升永英俊弁護士(左)ら=4日午後、松江市

 最大格差3・13倍の「1票の格差」を是正しないまま実施された7月の参院選は投票価値の平等に反し違憲だとして、弁護士らが合区の「鳥取・島根」選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で広島高裁松江支部は4日、「違憲状態」と判断した。無効請求は棄却した。

 同種訴訟は全国14の高裁・支部に計16件起こされ、松江支部判決を含め「違憲状態」4件、「合憲」4件となった。判決は11月中に出そろい、その後最高裁が統一判断を示す見通し。

 寺本昌広裁判長は判決理由で、最大格差について2019年選挙の3・00倍、22年選挙の3・03倍に比べ拡大傾向にあり「国会で格差の是正に向けた実効性のある検討や取り組みが続けられたとは評価しがたい」と批判。投票価値は著しい不平等状態だったとした。

 一方、最高裁が前回選挙を合憲と判断したことなどを踏まえ、今回の選挙までに格差が是正されなかったことが国会の裁量権の限界を超えるとはいえないと判断した。原告側は上告する方針だ。