兵庫県佐用町の「スプリング8」で講演する京都大の北川進特別教授=20日午後
 兵庫県佐用町の「スプリング8」で講演する京都大の北川進特別教授=20日午後

 今年のノーベル化学賞に選ばれた北川進京都大特別教授(74)が20日、兵庫県佐用町の大型放射光施設「スプリング8」で地元小中学生に向け講演し、SF小説を多読した中学時代のエピソードを交えながら「化学に興味をもってどんどん夢を広げて」と語りかけた。

 スプリング8は北川さんが基礎研究や実用化に向けた研究に長年取り組んできた施設。成果が実を結び開発された新材料「金属有機構造体(MOF)」は、多数の微小な穴で気体を吸着し、二酸化炭素(CO2)回収にもつながる可能性があり、環境問題の解決に向けた応用が期待されている。

 講演会はノーベル賞決定を記念して京都大などが企画し、北川さんは小中学生約150人にMOFの構造をかみ砕いて説明。自身の原体験として中学で数学が得意な友人が隣の席にいて影響を受けたと明かし、別の友人からSF小説を紹介されてから読書量が増え、夢が広がったと振り返った。

 参加した小学5年の福原佳純さん(11)は「楽しかった。いろんなことに興味を持って伸ばしていきたい」とはにかんだ。