身に覚えのない詐欺事件に関与したとして解雇された後に自殺した50代男性の遺族が、元勤務先の葬儀会社「おおの」(栃木県鹿沼市)に約1億円の賠償を求めた訴訟で、男性を無実と認め約8200万円の支払いを命じた宇都宮地裁判決が確定したことが18日、分かった。5月26日付。同社が控訴を取り下げた。遺族が東京都内で記者会見を開き、明らかにした。

 昨年11月の地裁判決は、男性が詐欺事件に関与したかのような証拠を当時の社長が作成し、犯人に仕立て上げたと指摘。男性は月100時間前後の時間外労働もしており、極めて強い心理的負荷を受けたことでうつ病を発症したと判断した。

 同社は控訴し、再び男性が詐欺の犯人だと主張。5月27日に東京高裁で判決が予定されていたが、前日に取り下げた。

 男性の長男は、謝罪はいまだにないとし「裁判は勝ったけどむなしさしかない」と涙ぐんだ。

 同社側の代理人弁護士は「最後まで争うことも検討した」と説明した上で「男性が亡くなられていること、解決まで時間を要する見込みであることなどを踏まえた」とコメントした。