少女を巡る経過※原告側への取材に基づく
少女を巡る経過※原告側への取材に基づく

 昨年12月、兵庫県内の障害福祉事業所に勤める少女=当時(16)=が体調を崩して死亡したのは、県警や神戸地検による違法な捜査が原因として、母親が17日、県や国に約1億1千万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。少女は暴れる利用者を制止したところ暴行容疑で逮捕され、18日間拘束されたという。不起訴となったが心身の不調は続き、釈放から5カ月後に亡くなった。

 訴状によると、少女は昨年2月、県内の勤務先でのイベントで、重度の知的障害がある女性利用者が、他人にかみつこうとするのを顎に手を添えて制止した。目撃した参加者が同4月、自治体に「虐待では」と相談。連絡を受けた女性の家族が明石署に申告し、少女は6月17日に逮捕された。

 少女は否認し、勾留された。接見も禁止され、ショックから食事も取れず体重が激減。逮捕翌日から勾留され続け7月3日、警察署の留置場で2度嘔吐して救急搬送され、留置場に戻された後、翌4日に釈放された。

 少女はその後、急性ストレス障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。食事が取れない状態が続き、12月14日に死亡した。死因は低栄養状態とされた。

 今年3月になって、少女の行為を虐待と連絡した目撃者が少女の母親に「オーバーに言い過ぎた」などと謝罪したという。

 この日は提訴後、母親と代理人弁護士が会見。代理人は「住居、就業先は明確。逃亡や罪証隠滅の恐れもなかった」と逮捕や勾留の必要性に疑義を呈し、明石署による自白を迫る取り調べや留置場での健康管理、地検の申し立てによる接見禁止措置などを非難した。

イベント会場にいた35人のうち、自治体に伝えた目撃者以外から事情を聴いていなかったと指摘し、「ずさんな捜査」と批判した。

 県警の大上健二監察官室長は「訴状が送達されていないことからコメントできない」とした。

 神戸地検の福田尚司次席検事は「個別事件の捜査の具体的内容に関わる事柄であり、訴状の送達も受けていない現時点においてコメントは差し控える」とした。