研ぎ澄まされた音ながら表現は情熱的。多くの聴き手を魅了するフランスのピアニスト、アレクサンドル・カントロフが11月に来日ツアーを行う。「自分の思いや意見を演奏で表現し、作品に新しい光を当てたい」と語り、日本で演奏される機会の少ないロシアの作曲家メトネルのピアノ・ソナタ第1番を軸に据えた演目を披露する。
父は巨匠バイオリニスト、ジャンジャック・カントロフ。「父の演奏は大好き」で、音を揺らして響きを豊かにするバイオリンのビブラート音をピアノでも出そうと、鍵盤を弾きながら手を震わせたこともあったほど。「冒険心のある父の演奏は永遠の憧れだ」
今回のプログラムの出発点になったのは「メトネルをもっと多くの人に知ってほしい」との思いだ。詩情あふれるピアノ曲を多く書いたこともあり同時代の作曲家ラフマニノフの陰に隠れがちだが、音の組み合わせ方が「緻密」という。「古典的なスタイルの可能性を拡張しながらも破壊はせず一方で新しい表現も試みている」ところに魅力を感じている。
さらに「数々のピアノ・ソナタで自分の人生を表現している」点で、メトネルとの親和性をベートーベンに見いだした。数あるピアノ・ソナタの最後を飾る「神秘的で孤高の境地に達した」曲調の第32番も取り上げる。
「作曲家の頭の中がどうなっていたのかを知るためには楽譜を読み込むことに加えて、自分の経験の蓄積やまなざしを生かすことが大切」と信じている。「弾く人の魂があってこそ、初めて曲は命を得られると思っている」
ソロリサイタルの日程は11月25日愛知県芸術劇場コンサートホール、26日札幌コンサートホールKitara、28日神奈川・杜のホールはしもと、29日東京・サントリーホール、30日神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホール
























