映画祭に登場した山田洋次監督=東京都豊島区(主催者提供)
 映画祭に登場した山田洋次監督=東京都豊島区(主催者提供)

 「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」が東京都豊島区の新文芸坐で開かれ、俳優の吉永小百合と山田洋次監督が登場した。吉永は、長崎に原爆が投下されて81年となる日の開催であることに触れ「みんなで反対して核兵器をなくさなければいけない。今日の映画を見て少しずつでもそういう思いを持っていただけたらと願っています」と語った。

 この日上映された「母と暮せば」は原爆投下から3年後の長崎が舞台の物語。主演を務めた吉永は撮影の後、監督と2人で長崎を訪れ、被爆者から体験談を聞いたという。背中にやけどを負って何年も上を向いて眠ることができず、うつぶせのままで入院生活を送った話が今も胸に残っているといい「原爆は絶対に持ってはいけない」と力を込めた。

 「(同作品は)若者がある日ふっといなくなったら、どんなに悲しいだろうということがテーマだった」と振り返った山田監督。太平洋戦争開戦時小学生だったといい、映画「男はつらいよ」シリーズを作る時も、戦争についての意識があったと明かした。

 「戦争について考える時、寅さんを見て大笑いした時の『人間って楽しいんだな、面白いんだな』という気持ちと重ねてみると、原子爆弾がいかに恐ろしい人間の罪かということが分かってくるのではないか」

 同映画祭は今年で15回目。実行委員会の御手洗志帆代表は「戦争は決して過去のものではなく、私たちのすぐそばにある現実でもある」と語った。