子どもの幸せを最優先に、丁寧かつ慎重な議論が求められる。
法制審議会は、離婚後に父母の双方が親権を持つ「共同親権」を可能にする民法改正の要綱を小泉龍司法相に答申した。法務省は今国会に関連法案を提出する方針だ。
現行の民法は父母どちらかの「単独親権」に限っている。法が成立すれば、離婚後の家族の在り方は大きな転換点を迎える。子どもの将来を左右しかねず、審議会では反対の声もあった。懸念材料を残したまま拙速に導入を決めてはならない。
要綱では、父母は離婚の際に単独親権か共同親権かを選び、合意できなければ家庭裁判所が親子関係などを踏まえて決める。ただし、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の恐れがある場合、家裁は父母どちらかの単独親権とする。
家庭という密室で暴力の有無を立証するのは難しい。家裁が個別のケースを適切に見極められるかどうかが厳しく問われよう。
親権は、未成年の子どもを養育するために親が果たすべき責任のことである。身の回りの世話や教育をする「監護権」と、子どもの預貯金の管理や契約行為を代理する「財産管理権」に大別される。
共同親権の下では、子どもの進路や転居、病気の長期治療、子どもが相続した財産の処分といった重要事項については、父母が話し合って決める。両者の意見が対立した場合はその都度、家裁が誰が決定するかを判断する。
父母が互いを尊重し、協力できる関係を築けていれば、共同親権は子どもの育成に有益だろう。しかし、家族の事情はさまざまだ。両親の関係がこじれて重要事項の合意が難しいと、子どもが多大な不利益を被る可能性がある。
DV被害の当事者らは「そもそも力関係に差があり、対等に話し合えない」と訴える。共同親権を支持する専門家からも、「共同親権に同意しないと離婚には応じないとか、別居親が親権によって子どもの教育やしつけに介入する恐れがある」との指摘が出ている。
子どもの養育を巡って重要な決断を下すことになる家裁の体制構築が不可欠だ。先進国の中で後れを取っているDVや虐待の被害者保護の拡充にも取り組まねばならない。
要綱は、多発する養育費の不払いに対応して給料などを差し押さえしやすくすることや、必ず払うべき「法定養育費」の創設などを盛り込んだ。安心して面会交流できる仕組みづくりも課題となる。
何より当事者の子どもの意思をくみ取り、最大限反映させる制度にすることが肝要だ。























