日本維新の会代表の吉村洋文・大阪府知事と同副代表の横山英幸・大阪市長が任期途中で辞職し、次期衆院選に合わせて実施する出直しダブル選に臨む意向を表明した。
維新の看板政策「大阪都構想」への3度目の挑戦を公約に、ダブル選に勝利することで推進への信任を得たい考えだ。しかし過去に2度の住民投票で否決された政策を蒸し返す手法は、民意の軽視と言わざるを得ない。維新の大阪市議団が「反対」を決議するなど党内からも反発が相次ぐのは当然である。
都構想は二重行政の解消をうたい、大阪市を廃止して特別区を導入する。実現には住民投票で過半数の賛成を得る必要があり、2015年と20年の2回実施されたが、いずれも否決された。吉村氏は2度目の否決後、「僕自身が挑戦することはもうない」と明言した。23年の統一地方選で実施された知事・市長のダブル選でも公約に掲げなかった。
潮目が変わったのが、昨年10月の自民党との連立政権への参加だ。大規模災害時に東京を代替する「副首都構想」の実現を求め、連立合意書に通常国会での関連法成立が盛り込まれた。維新が示す法案の素案は特別区設置を副首都指定の要件とし、都構想実現を前提としている。
衆院選に便乗してダブル選を行い、3回目の住民投票への「民主的プロセス」とする狙いだが、2度も否決された都構想の修正案も示しておらず、賛同を得られるとは限らない。再選されても1年ほどで再び選挙となる。多額の公費を使うことに、有権者の理解を得られるのか。
党のガバナンスを問われる不祥事は絶えない。藤田文武共同代表は、公設秘書が代表を務める会社に業務を発注し政党交付金で支払っていた。「公金の私物化」との批判は当然だ。党所属の兵庫県議ら複数の地方議員が、一般社団法人の理事に就くことで国民健康保険料の高額な支払いを回避する「国保逃れ」も発覚した。いずれも結党以来掲げる「身を切る改革」と矛盾する。
社会保険料引き下げは維新の重要政策の一つだが、脱法的行為で負担を免れる議員がいるようでは改革を語る資格はない。維新は兵庫県議ら6人を除名処分とする一方、党の組織的な関与は否定した。党の体質刷新を棚上げし、ダブル選で批判をかわそうとの思惑が透ける。
これまでも都構想の住民投票の前に知事と市長が立場を入れ替えて立候補するなど、維新は関心を引きつける「道具」として選挙や首長のポストを利用してきた。疑惑をうやむやにせず、自らを律する改革こそが信頼回復への道であると肝に銘じるべきだ。























