ファミリアの岡崎忠彦社長=神戸市中央区磯上通4
ファミリアの岡崎忠彦社長=神戸市中央区磯上通4

 子ども服のファミリア(神戸市中央区)が、大きく変わりつつある。他社とのコラボ雑貨を次々と企画し、「卒業されないブランド」として大人向け商品も販売。20~30代の女性をターゲットにした専門店も出した。改革をけん引するのは、創業者の孫で5代目社長の岡崎忠彦さん(56)だ。米国で学び、働いた後に「家業」へ。自由な言動で「宇宙人」と周りから呼ばれるが、むしろ社内をそんな宇宙人だらけにして「侵略する」のだそうだ。岡崎さん、どんな会社にしたいのですか?(聞き手・谷口夏乃)

 昨年9月、東京駅前の丸の内ビルディングに、ファミリアの新店舗がオープンした。大人の女性をターゲットにした雑貨を専門に扱う店で、「クマちゃん」のアップリケが付いたバッグやハンカチなどが並ぶ。大人向けの店舗は2024年に出した大阪、25年春の広島に続いて3店目となった。

 「ファミリアは子ども服のブランド」って誰が決めたんですかって話ですよ。そういうところから考え方を変えました。会社での会議にヒントがあったのです。会議ではみんな「お客さまは卒業する」って言っていた。ベビーから入っていただいて、12歳でピークが過ぎると。そういうブランドなんだと、みんな思い込んでいた。この話を聞いて「これはチャンスがあるな」と思いました。「じゃあ、卒業しなくしようよ」って。思い込みを捨てることで、ビジネスモデルを変えるのです。

 ファミリアは1950年、4人の女性によって設立された。上質なベビー・子ども服が支持を集め、クマのキャラクター「ファミちゃん」は同社のシンボルになった。岡崎さんは創業者の一人、坂野惇子(ばんのあつこ)さんの孫だ。甲南大経済学部を卒業後、米国カリフォルニア州の美術大学でデザインを学んだ後、現地のデザイン事務所へ。2003年にファミリアに移り、11年に社長に就いた。

 僕は米国の西海岸で、いろんな会社のカルチャーをのぞいたことがある。いけてる会社って、やっぱり元気なんですよね。ポジティブなパワーがある。ファミリアでもそれを目指した。

 でも(西元町にあった)前の6階建ての本社は非常に汚くて。美意識ゼロみたいな会社でした。テーブルの高さが全部バラバラ。社員がゴミ箱の上に座って、先輩の話を聞いている。階段ではタバコを吸ってて、ヤニで真っ黄色。デザイン事務所とは真逆の環境で、もう死にそうに嫌になったんですよ。ブランドを扱っている会社なのに、社員それぞれの意識が違うと思った。

 だから本社を売る話が出たとき、2秒で決めました。建造物として残っていなくても、会社のコンセプトをちゃんと作って残した方が心に残ると思いました。

 16年に本社社屋と、隣接地にあった近代洋風建築の「ファミリアホール」を売却し、三宮のオフィスビルに移った。

 いろんなビルを見ましたけど、いまの本社のビルは内部がスケルトンで、天井が高く、光がきれいに入ってきてた。見た瞬間に「ここやっ」と思った。環境ってすごく大事です。オフィスの環境と、会社のカルチャー、それから誰をキャスティングするか。この三つが変わるだけで会社って超元気になる。その逆だと、日が当たらない植物みたいな感じになる。業績が悪かったら言い訳ばっかりになるし。「お客さまは卒業する」なんて、まさに言い訳でしょう。だから環境、カルチャー、人を180度変えようと。

 僕はアメリカから来て、「宇宙人」と言われてたんですね。社長のぼんぼんやし、好き勝手言うし。そこで僕がとった行動は超簡単です。会社に宇宙人を入れていく。だから今、うちの会社は宇宙人に侵略された状態です。被害者の会もありますが。

【おかざき・ただひこ】1969年生まれ。甲南大経済学部卒。カリフォルニアの大学でインダストリアルデザインを学んだ後、米国のデザイン会社でグラフィックデザイナーとして働く。2003年ファミリア入社。取締役執行役員などを経て、11年から現職。神戸市東灘区出身。