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 米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始してきょうで1週間になる。戦火はますます拡大し、イランでは1200人以上が犠牲になった。親イラン民兵組織ヒズボラが拠点を置くレバノンも激しい攻撃を受け、死者は100人を超えた。

 米軍は軍事施設を狙った正当な攻撃と主張するが、100人以上の女子児童が亡くなった小学校の空爆に関与した疑いが濃厚になっている。小学校への攻撃は国際人道法違反であり、最大限の非難に値する。

 イランも報復を激化させている。イスラエルのみならず米国の施設がある周辺諸国もミサイルや無人機で攻撃し、多くの死傷者を出した。

 自衛権を盾にした攻撃で多数の民間人の命を奪うのは、パレスチナ自治区ガザでの戦闘と同じだ。国際社会は双方に強く自制を求め、一刻も早く停戦を実現せねばならない。

 世界経済への影響も深刻だ。イランはホルムズ海峡を封鎖し、ペルシャ湾北部で米国のタンカーを攻撃したと発表した。周辺海域ではタンカーが立ち往生し、供給不足の不安から原油価格が急騰している。

 一方、米軍はスリランカ沖でイラン海軍の艦船を魚雷で撃沈させた。日本を含む多くの船が行きかう公海での蛮行に慄然(りつぜん)とする。

 トランプ米大統領は「攻撃は10点満点で15点」と成果を誇示する。しかし、攻撃開始以来の発言は一貫せず、出口戦略を描かず安易に加担したとの見方が強まっている。

 最高指導者ハメネイ師の殺害後、イラン国民に武装蜂起を呼びかけたが、数日後に「新指導者は体制内の穏健派から選ぶべきだ」と翻した。さらにはイランと敵対するクルド人勢力に武器を供与する考えも示した。泥沼の内戦を引き起こす恐れがあり容認できない。

 トランプ氏はベネズエラで大統領を拘束し親米政権に転換させた成功体験を念頭に、イランの後継者選定に関わる構えだが、国民を差し置いた政変が支持されるはずはない。

 イスラエルにとってイランの弱体化は長年の念願だった。昨年6月にイランの核施設を米軍とともに攻撃した際もハメネイ氏の排除を主張したが、米国の同意は得られなかったとされる。今回殺害に踏み切った米側の判断は無謀な賭けと言える。

 そもそも両国のイラン攻撃は差し迫った脅威が見当たらない予防的な措置で、国際法違反の疑いが強い。

 しかし高市早苗首相は法的な見解を明確にせず、イラン側のみ批判している。唯一の同盟国、米国を刺激したくない意向なのだろうが、日本はこれまで「法の支配」を順守する姿勢で国際社会の信頼を得てきた。言うべきことは言わねばならない。