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10代の私が未来の自分にあてて手紙を書いた。30歳になり、10代の自分に返事を書く。実体験をもとにしたアンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓 十五の君へ~」は一時期よく聴いた◆手紙をもらったわけではない。災害のかたちやその後の歩みも違っている。でも-と、考える。震災31年のまちから、震災15年になる東北へ伝えられることは何だろう◆例えば、折にふれ本紙に登場願ってきた人がいる。15年前の春、大学生だった彼女は津波にのまれたまちを訪ねた。照れ屋で人見知り。でも、伝えたいことがあった。「ひとりじゃないよ」「そばにいるから」◆阪神・淡路大震災が起きたときは幼くて、母の死をあまり理解できていなかった。大きくなるにつれて寂しさが増したという。記憶がぼんやりなのもつらかった。思いは募る。母に会いたい。夢でもいいから-◆東北にもきっと私みたいな子がいるはずだ。ひとりじゃないよ。伝えたくて、通った。多くを奪った31年前の震災を忘れてほしくないように、自分も東北を忘れない。同じ痛みを知る被災地からのメッセージはつまり、そのことに尽きるのかもしれない◆〽この手紙読んでいるあなたが 幸せな事を願います(「手紙-」)。未来の東北がそうでありますように。2026・3・11