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 高市早苗首相とトランプ米大統領の2度目の首脳会談がワシントンで開かれた。長引くイランとの戦争に焦りと同盟国への不満を隠さないトランプ氏がどう出るか、国際社会が注視していた。

 日本にとって最大の懸念は、事実上の封鎖が続くホルムズ海峡への艦船派遣要求について、いったん取り下げたトランプ氏が再び持ち出してくるのではないかという点だった。

 首相は会談後の会見で「日本の法律の範囲内で、できることとできないことを詳細に説明した」と述べた。だが具体的な内容は明らかでない。トランプ氏の怒りを買う場面はなかったものの、日本の立場がどこまで理解されたかは疑わしい。

 トランプ氏は報道陣に公開された会談の冒頭で、イラン情勢をめぐり日本の「踏み込んだ対応」への期待を繰り返した。何を指すかは不明で、要求をエスカレートさせる恐れがある。戦闘中の地域に自衛隊を派遣する法的根拠がないことを日本は引き続き訴えるべきだ。

 会談で首相は、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。応援したい」と持ち上げた。しかし事態を引き起こしたのは米国であり、正面から停戦を求めるべきではなかったか。攻撃は国際法違反の疑いが濃厚であるにもかかわらず、法的評価を避けたのは問題だ。

 伝統的にイランと友好関係を築いてきたのは日本の強みと言える。停戦への仲介役となることや戦闘終結後の人道支援を申し出るなど、「平和国家」として最大限の努力が不可欠である。今回、事態収拾への明確なメッセージを打ち出せなかったのは残念と言うほかない。

 会談に合わせて対米投融資の第2弾が発表された。次世代原発の小型炉を米国で建設することなどが盛り込まれた。総額約87兆円にも上る対米投融資は、昨年7月の日米関税合意に基づくものだ。米国が一方的に設けた「相互関税」を引き下げる条件として日本に求めた。

 ところが今年2月、米連邦最高裁は相互関税を違法とする判決を出し、対米投融資の前提は崩れた。日本にとって利益配分などで極めて不平等な内容であり、根本的に見直すのが筋である。

 会談は当初、3月末に予定されていた米中首脳会談を前に、日米の結束を中国に示す好機として日本側が要望した。しかしイラン攻撃により米国は国際社会で孤立しつつあり、対米偏重は日本に不利益となりかねない状況となっている。

 高市政権は中国との関係改善はもちろん、多角的外交の展開に努めねばならない。中東の戦火拡大を回避するための外交手腕が問われる。