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 神戸市が、外郭団体が運営するプロオーケストラ「神戸市室内管弦楽団」に対する補助金を2027年度末で打ち切る方針を打ち出した。他都市の楽団と比べて公金への依存度が高い点を問題視し、収益構造の改善を求めてきたが、現時点で収入増が見通しにくいという。

 市室内管弦楽団は全国的に珍しい自治体設立の楽団「神戸室内合奏団」として1981年に発足した。2018年に現楽団名となり、26人が在籍する。神戸文化ホール(神戸市中央区)の専属団体で神戸市民文化振興財団が運営している。

 オーケストラは都市の文化的豊かさを象徴する資産である。市室内管弦楽団にはプロとしての質の高い演奏の提供はもちろん、地域の魅力向上に貢献することが求められる。

 しかし、ファンやスポンサーを獲得する努力は十分だったのだろうか。23年度は楽団の年間収入約1億5500万円のうち補助金が70%を占め、演奏による収入は11%、民間支援は0%。定期演奏会の平均来場者は500人台にとどまる。

 一方、札幌市や福岡市など他の政令市にある7楽団は平均で演奏による収入が43%、民間支援は9%、自治体支援は40%に抑えられているという。

 神戸市は昨年11月、補助金を収入の4割に抑えた上で楽団の維持や再編などの方向性を示した。これに対して、財団が出した案は補助額を大きく減らさずチケット代改定などで収入増を目指す内容だった。市側は「実現可能性が低い」と判断し、補助金の廃止方針を通達した。廃止されれば存続の危機に直面するが、改善次第で「再考の余地」を残しているという。

 楽団はクラシックファンの裾野を広げるプログラム編成や、市民や企業からの寄付が集まる仕組みづくりを探ってほしい。

 神戸市は楽団の拠点である神戸文化ホールを28年以降、三宮の再開発ビル内に移転させる。24年の整備基本計画では楽団の常駐ホール機能を持たせると定めていた。

 今回の件を補助金廃止の是非にとどめず、これからの時代にふさわしい芸術文化の振興と公的支援の在り方について議論を深める契機としたい。