神戸新聞NEXT

 原発の稼働に伴って生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、経済産業省が東京都小笠原村に対し、同村南鳥島での文献調査実施を申し入れた。実施となれば全国4例目となる。渋谷正昭村長は「村民や村議会の意見などを踏まえ、判断していく」と述べ、小池百合子都知事は村長の対応を注視するとした。地元首長は地域の将来に関わる重い判断を迫られる。

 同省は同村役場がある父島と、その南にある母島で住民説明会を開いた。調査に理解を示す参加者がいた一方で、観光・漁業の風評被害や、南鳥島沖で検討されるレアアース(希土類)開発への影響などを懸念する声が上がったという。村議会でも「軽々に受けるべきではない」などの発言が出ている。国や村は幅広く住民の意見を聞いてもらいたい。

 過去には調査を行うかどうかで住民が対立し、しこりを残した自治体もあった。地域に分断を生まないためにも丁寧な議論が求められる。

 南鳥島は本州の南東約1800キロにあり父島からも約1200キロ離れている。国有地で民間人は住んでいない。国によると、処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が高い地域」にあるが、輸送費の高さや、小さな島ゆえ処理場の敷地が十分確保できるかなども課題とされる。調査するにしても利点と問題点を慎重に検討しなければならない。

 調査は文献調査、概要調査、精密調査の3段階があり、原子力発電環境整備機構が計約20年かけて行う。文献調査だけで最大約20億円の交付金が出る。知事や市町村長が反対すれば手続きは進まない。

 2002年に調査受け入れ自治体の公募を始めたものの調査に入ったのは北海道の寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村と佐賀県玄海町しかない。北海道では鈴木直道知事が反対の姿勢を示す。

 核のごみは使用済み核燃料の再処理時に出る廃液をガラスと溶かし合わせたものだ。数万~10万年、地下300メートルより深い岩盤に埋める。原発を動かす以上、その処分は避けられない課題だが、関心が高まっているとは言えない。国が前面に立ち、国民的な議論を深めるべきだ。

 最終処分は、使用済み燃料を再処理し、再利用する核燃料サイクル政策が前提となる。しかし再処理工場は完成予定から30年近くが過ぎても稼働せず、使用済み燃料は全国の原発などに合わせて約1万7千トンたまっている。自然災害などのリスクを抱える上、保管容量の上限も迫る。

 昨年に処分場建設を始めた先進地のスウェーデンでは、使用済み燃料を再処理せずに埋める方針だ。国は処分場の選定とともに、処分方法の見直し議論も進める必要がある。