発がん性などが懸念される有機フッ素化合物(PFAS)のうち、代表的なPFOSとPFOAが、4月1日から水道法上の水質基準の対象となった。自治体や民間の水道事業者には、原則として3カ月に1回の水質検査が義務付けられる。基準値を超えれば、原因の究明や水質の改善をしなければならない。
PFASは水や油をはじき、調理器具、衣類、包装などに幅広く活用された。だが人体や環境への悪影響が指摘され、ストックホルム条約で2009年から順次、PFOSとPFOA、PFHxSが廃絶対象となった。日本でも製造や輸入が禁止されている。国民の不安が増す中、飲み水の規制基準が設けられたことは健康被害を防ぐ上で望ましい。
ただ、基準値はPFOSとPFOAの合計で水道水1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)で、政府が20年に設けた暫定目標値と同じだ。近年、ドイツは4種類の合計20ナノグラムの規制方針を定め、米国もトランプ政権が導入を先送りしたものの、2種類の基準を各4ナノグラムとした。
日本では、兵庫県などの住民団体が基準値見直しを求める要望書を政府に提出している。不十分と指摘する研究者もいる。政府は最新の科学データや研究成果、各国の規制状況などを参照し、基準値などが適切かどうかの検証を継続する必要がある。その結果に応じて、速やかに改定を進めてもらいたい。
規制基準は簡易水道や専用水道にも適用される。昨年末に国が公表した調査によると、専用水道のうち、PFASの水質検査を実施したのは半数ほどにとどまる。兵庫県内でも170件中82件だった。費用などが支障になっているという。調査や水質改善の費用は、とりわけ小規模な事業者には重い負担となる。国による財政的な支援が欠かせない。
PFASは長期間残留するため、各地の川や地下水などから高濃度で検出されている。水道も岡山県吉備中央町で暫定目標値の28倍を検出したのをはじめ、沖縄県や東京都などで過去に目標値を超えていた。西脇市と宝塚市でも超過があった。
ところが汚染源の特定は容易ではない。沖縄などでは米軍基地が疑われるが、日米地位協定の壁があり、立ち入りもできない。調査が可能になるような措置が求められる。
住民の自主的な血液検査などで、PFASの血中濃度が海外の指針値を上回る結果が続出している点は見過ごせない。吉備中央町は公費で調べたが、環境省は健康影響との因果関係が不明確として消極的な姿勢を示す。知見が不足しているからこそデータの蓄積が重要になる。国などは検査を前向きに検討すべきだ。
























