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 大規模な山林火災が各地で相次いでいる。ひとたび発生すると延焼のスピードが速く、焼損面積も拡大する。火の後始末を怠らないなど対策の徹底が欠かせない。

 岩手県大槌町で4月22日に発生した山林火災は、消防や自衛隊ヘリなどの懸命の消火活動や降雨の効果もあり火勢を鎮圧したが、鎮火には至っていない。焼損面積は1600ヘクタール超に及ぶ。出火原因は分かっていない。総務省消防庁によると、約3370ヘクタールを焼いた昨冬の同県大船渡市の山林火災に次ぎ、平成以降で国内2番目の規模となった。

 大槌町では住宅1棟を含む建物8棟が焼けた。町の人口の3割に当たる3千人以上が一時避難を余儀なくされた。折しも、三陸沖で4月20日に起きた地震を受け「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が出されていた。津波警報が出たら直ちに避難する必要がある中、住民らは心身に深い疲労を強いられたことだろう。国や自治体は被災者らの支援に万全を期してほしい。

 火災発生時は乾燥、強風の注意報が出ていた。岩手県沿岸部はリアス海岸と険しい山地という複雑な地形で多くの起伏や急傾斜があり、強い風にあおられて油分の多い松などに火の手が広がったとみられる。大火の恐ろしさを改めて思い知る。

 初期消火が重要だが、人口減少や高齢化が進み消防の体制が十分でない地域も少なくない。自治体同士や自衛隊などとの広域的な連携体制を整備、確認しておく必要がある。

 消防庁などによると、山火事は毎年千件以上発生し、その多くが1~5月に起きている。出火原因はたき火、たばこなど人為的な要因が大半を占める。焼損面積も増加傾向にある。登山やハイキングなど入山者が増える時季でもあり、基本的な注意を徹底し、出火を未然に防ぐ対策が求められる。

 昨年の大船渡市などの大規模火災を踏まえ、消防庁は林野火災に対する注意報や警報の制度を創設し、市町村が条例に基づき発令できるようになった。兵庫県内でも神戸市などで運用を始めている。

 自治体が森林やその周辺など火災リスクのある区域を指定し、降水量が少ない日が続いたり、強風注意報が発表されたりすると注意報や警報を出す。注意報の場合はたき火や野焼き、喫煙などが制限される。警報が出ると屋外での火の使用が禁じられ、違反者には罰則もある。

 ただ、こうした制度はまだ認知されているとは言い難い。自治体は住民や行楽客らの理解と協力を得られるよう、仕組みを丁寧に説明していくことが重要だ。私たちも身の回りの備えや防火意識を高めたい。