米国とイスラエルによるイラン攻撃を巡る和平交渉で、イスラエルの強硬姿勢が際立っている。
トランプ米大統領は戦闘終結に向け、イスラエルのネタニヤフ首相と、レバノンに拠点を置く親イラン民兵組織ヒズボラの代表者と電話協議し、いずれも攻撃停止に同意したと交流サイト(SNS)で主張した。
ところがイスラエル軍高官は、ヒズボラ勢力が強いレバノン南部での攻撃継続を表明し「軍の目標は北部を守り、ヒズボラの打撃をさらに強化することだ」と訴えた。
レバノン情勢は、米国とイランによる覚書締結交渉の障害となっている。このままでは影響を長引かせ、戦闘終結どころかさらにエスカレートする恐れがある。
ヒズボラ側もレバノン南部でのイスラエル軍の駐留が続くなら「抵抗を続ける」と反発した。「包括的」な停戦が必要だとして、イスラエル軍の攻撃停止とレバノンからの撤収を要求している。
対立激化に伴い、民間人の犠牲は看過できないほどに増えている。レバノン保健省によると、3月2日以降の死者は3500人を超えた。国連は、人口の2割に当たる100万人以上が家を追われ、避難施設などに身を寄せているとしている。
イスラエル、ヒズボラの双方が歩み寄り、早期の戦闘終結が求められる。劣悪な環境下で過ごす避難民への救援の手も早急に行き渡らせる必要がある。
イランは、米国とイスラエルによる攻撃への報復措置としてエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上封鎖し、原油価格高騰など世界経済に悪影響を及ぼしている。米下院では、対イラン軍事行動を議会の承認なしにはできないように制限する決議案が可決された。
トランプ氏は早期の戦闘終結を望む一方、好条件に固執しているようだ。交戦姿勢を崩さないネタニヤフ氏を罵倒したとされるが、出口戦略を描かないままイランへの攻撃に踏み切った責任は重い。イスラエルに対しても、武器提供の中止を辞さない覚悟で強く自制を求めるべきだ。人的、経済的被害の抑止を最優先し国際社会と協力しながら中東全域の緊張緩和を実現してもらいたい。
焦点となっているイランの核開発断念に加え、核保有国とされるイスラエルにも廃棄や査察受け入れを促すことが欠かせない。
イスラエルの強硬姿勢は、昨年10月にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの停戦に合意した後も、ハマス幹部の殺害を続ける点でも顕著だ。敵対する組織の壊滅にこだわる姿勢を捨て、国際協調にかじを切らねばならない。























