中部電力が浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働審査に関する耐震データを不正に操作していた問題で、審査用の資料作成時だけでなく、原子力規制委員会の調査が始まった昨年5月以降も操作を続けていた。規制委が明らかにした。山中伸介委員長は「不正隠しだと推察される」との厳しい見解を示した。
都合の良いデータを導くための意図的な改ざんだとすれば極めて悪質で、言語道断だ。原発の稼働には高度の安全性が求められる。中部電にその資格があるのか疑わしい。
原発の耐震設計が妥当かどうかを判断する重要項目の一つに、想定地震の最も大きい揺れを示す「基準地震動」がある。中部電はその策定に向けた地震動評価のうち、69件でデータを操作していたという。
審査会合で、中部電はケースごとに20の地震波から最も平均に近い1波を「代表波」に選んだと説明していた。しかし調査開始後に代表波以外の19波を追加したり、変更したりしていた。代表波以外が存在しないケースなどについて規制委から確認を求められ、つじつま合わせのために操作を重ねた疑いがある。
データ操作の契機は、2009年の地震で想定を上回る揺れを観測した後、追加の対策を避けるためだった可能性がある。浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域の直上に立地し、耐震設計は特に重視すべきものだ。基準地震動が過小に評価されれば適正な耐震設計ができない。それは、地震による取り返しのつかない重大な原子力災害の発生にもつながる。11年に起きた東京電力福島第1原発事故を、同じ電力会社として深刻に受け止めたのだろうか。
今回の発覚で驚かされたのが、不正隠しに複数部署が関与していた点だ。地震動の担当部署が他部署に地震の影響評価を求めていた。影響がある波は「×」、選んでほしくない波は「△」などと分類させ、代表波を選んでいたという。組織ぐるみの可能性が高く、山中委員長が「倫理観の喪失が集団で起きていたのではないか」と批判したのは当然だ。
現在、規制委は中部電本店の立ち入り検査をするなど問題の実態解明を進めている。同社の第三者委員会の調査結果なども参考にして、処分を決めるとしている。悪質性が明確になった場合は、審査のやり直しにとどまらず、再稼働審査の不合格など重い処分を科すべきだ。
同様の不正は他の原発の審査でも起こり得る。各電力会社には安全性を高める真摯(しんし)な姿勢を改めて求めたい。同時に、外部通報があるまでデータ操作を見抜けなかった規制委も襟を正す必要がある。審査の方法などについての改善も急務である。























